2009-11-01から1ヶ月間の記事一覧

柄谷行人 『柄谷行人 政治を語る』

2001年に上梓された『トランスクリティーク――カントとマルクス』で、「資本、国家、ネーションを三つの基礎的な交換様式から見、さらに、それらを超える可能性を第四の交換様式(アソシエーション)に見いだす」(『世界共和国へ』あとがきより)考えを提示…

約定と逆上の歴史

図書館にて松岡正剛『千夜千冊4 神の戦争・仏法の鬼』、美術手帖編『現代アート事典』を借りる。 松岡正剛千夜千冊作者: 松岡正剛出版社/メーカー: 求龍堂発売日: 2006/10/01メディア: 大型本 クリック: 6回この商品を含むブログ (32件) を見る

池澤夏樹 『ぼくたちが聖書について知りたかったこと』

「ユダヤ=キリスト教では世界は人間のために造られたというのがセントラル・ドグマだと考えていたんですが、必ずしもそうではない」(p.264)と、聖書学・秋吉輝雄との対話の中で池澤夏樹は言う。果たして、神は「人間がいない世界」を嘉しているのだろうか…

文学は馬鹿らしいほどに矮小化されている?

丸善にて東浩紀+北田暁大編『思想地図vol.4 特集・想像力』(NHKブックス別巻)、Book 1stにてツヴェタン・トドロフ『文学が脅かされている』(法政大学出版局)、書原にて安田登『身体感覚で「論語」を読みなおす』(春秋社)を購入。 文学が脅かされてい…

神の銀行

「神の銀行」、巨額の資金洗浄疑惑 伊当局が本格捜査へ (www.asahi.com 2009年11月26日15時5分) イタリア司法当局は、ローマ法王庁(バチカン)の財政を握る宗教事業協会(IOR、通称バチカン銀行)がイタリアの民間銀行を通じて巨額の資金洗浄を行って…

Nationalsozialistisches Kraftfahrkorps

ヒトラーの車と確認、ロシアの富豪が購入へ (www.asahi.com 2009年11月25日22時33分) ナチス・ドイツを率いたヒトラーがパレードなどに使い、第2次世界大戦後は欧米を転々としていた車が、独北西部ビーレフェルトで見つかった。ロシアの富豪の依頼を受け…

Gerry Mulligan / Night Lights

学生時代、高田馬場の駅前にあったムトウというレコード店で購入して、よく聴いていたアルバム。マリガンはバリトン・サックス奏者として有名だが(大江健三郎の『厳粛な綱渡り』にもマリガンは登場する)、本曲ではピアノを担当。恐ろしく単調な曲だが、な…

日本学

図書館にて梅原猛『京都発見1 地霊鎮魂』『同9 比叡山と本願寺』、梅棹忠夫『文明の生態史観』を借りる。 その足で書原にて鈴木大拙『日本的霊性』(岩波文庫)『禅とは何か』(角川ソフィア文庫)、F・ブローデル『歴史入門』(中公文庫)、R・ドーキンス『…

内田樹 『日本辺境論』

「日本人にも自尊心はあるけれど、その反面、ある種の文化的劣等感がつねにつきまとっている。それは、現に保有している文化水準の客観的な評価とは無関係に、何となく国民全体の心理を支配している、一種のかげのようなものだ」 内田樹は、およそ半世紀前に…

マーティン・スコセッシ 『タクシー・ドライバー』(1976)

「キネマ旬報」が11月20日に「映画史上のベスト10」を発表した。日本映画の1位は小津安二郎「東京物語」で、以下(2)「七人の侍」(3)「浮雲」(4)「幕末太陽伝」(5)「仁義なき戦い」(6)「二十四の瞳」(7)「羅生門」「丹下左膳余話 百万両の壺」「太陽を盗んだ…

確証バイアスの罠

丸善お茶の水店にて秋山聰『聖遺物崇敬の心性史』(講談社選書メチエ)、渡邊大門『奪われた「三種の神器」 皇位継承の中世史』(講談社現代新書)を、新宿Book 1stにて池澤夏樹『ぼくたちが聖書について知りたかったこと』(小学館)、レナード・ムロディナ…

不条理を肯定する

大学入学の年に購入したカミュの『シーシュポスの神話』などを読んで過ごす。ビュトールやブランショ、ヴァレリー、デュラスなどの翻訳でも知られる清水徹の訳文は素晴らしい。 シーシュポスの神話 (新潮文庫)作者: カミュ,清水徹出版社/メーカー: 新潮社発…

Definitive

紀伊国屋新宿本店にて、アンドリュー・グレアム=ディクソン+樺山紘一『世界の美術』(河出書房新社)を衝動的に購入。 世界の美術作者: 樺山紘一,アンドリュー・グレアム=ディクソン出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2009/10/22メディア: 大型本購入:…

Sarah Vaughan with Clifford Brown / Lullaby of Birdland

25歳の若さにして自動車事故でこの世を去った、モダン・ジャズ史上屈指のトランペッター、クリフォード・ブラウン。マックス・ローチとのコンビによる演奏が有名だが、サラ・ボーンをヴォーカルに迎えた『サラ・ヴォーン・ウィズ・クリフォード・ブラウン』…

鯉寿司にてアワビ、子持ち鰈の煮付け、シメサバ、ウニ、イクラ、カワハギの軍艦巻などをごちそうになる。

シシュホスが私を惹きつける

新宿Book 1stにて中沢新一『純粋な自然の贈与』(講談社学術文庫)、内田樹『日本辺境論』(新潮新書)、佐藤唯行『アメリカはなぜイスラエルを偏愛するのか』(新潮文庫)、秦剛平『美術で読み解く 旧約聖書の真実』(ちくま学芸文庫)を購入。 純粋な自然…

オバマは日本で何を語ったか

「日米同盟軸に指導的役割」 オバマ大統領がアジア演説 (www.asahi.com 2009年11月14日11時19分) 来日中のオバマ米大統領は14日午前、東京都内でアジア外交の基本政策について初の主要演説を行った。日米同盟を基軸と位置づけ、中国との連携も強調。米国…

ほおを膨らます必要はない

ソ連体質に苦言 ロシア大統領が教書演説 (www.asahi.com 2009年11月13日1時35分) ロシアのメドベージェフ大統領は12日、モスクワのクレムリンで上下両院議員らを前に大統領就任後2度目の年次教書演説をした。ソ連体質をいまも引きずるロシア社会の現状…

坂井克之 『脳科学の真実』

――現時点においては脳科学の知見のみで、人間の思考や行動の全てを説明できるには至っていない。(中略)例えば、「右脳人間、左脳人間」「男性脳、女性脳」「睡眠学習」等の多くは科学的根拠に乏しく、最近では「神経神話(Neuromyth)」と呼ばれ注意喚起が…

纒向から

3世紀前半の大型建物跡、邪馬台国の中枢施設か 奈良 (www.asahi.com 2009年11月10日22時7分) 邪馬台国の有力候補地とされる奈良県桜井市の纒向遺跡(2世紀末〜4世紀初め)で、3世紀前半(弥生時代末〜古墳時代初め)の大型建物跡1棟が見つかった。市…

兜率三関

新宿Book 1stにて秋月龍萊『公案 実践的禅入門』、松岡正剛『日本流』(ちくま学芸文庫)、永井均『道徳は復讐である』(河出文庫)、『カフェ古典新訳文庫 Vol.1』(光文社古典新訳文庫)を購入。 公案―実践的禅入門 (ちくま学芸文庫)作者: 秋月龍〓出版社/…

あるいは不思議の環

Newton別冊『“ありもしない”のに、難問解決に不可欠な数 虚数がよくわかる』購入。 ホフスタッター『ゲーデル、エッシャー、バッハ』、ガモフ『1、2、3…無限大』などを読み返す。 ゲーデル,エッシャー,バッハ―あるいは不思議の環作者: 野崎昭弘,はやしは…

仲正昌樹 『今こそアーレントを読み直す』

ハンナ・アーレント(1906-1975): ドイツ出身、アメリカ合衆国の政治哲学者・思想家。ドイツ系ユダヤ人。ナチスによるユダヤ人迫害を逃れるため、フランスを経由してアメリカ合衆国に亡命。全体主義国家の思想史的解明や、現代社会の精神的危機への深い洞…

レヴィ=ストロース追悼

『レビストロース氏 何者だったか――』 (2009年11月7日付 朝日新聞 文化欄) 先生の言葉で私の心にしみているのは、「世界は人間なしに始まったし、人間なしに終わるだろう」という、『悲しき熱帯』の一節だ。 人間のおごりを静かに戒める、これほど簡潔で決…

豆畑を横切るよりも

哲学者の「死の思考」をめぐっては仲正昌樹が07年に『思想の死相』(双風舎)を上梓しているが、高村薫の書評(朝日新聞)に触発されてサイモン・クリッチリー『哲学者たちの死に方』(河出書房新社)を購入。「真の哲学者は死ぬことを自らの職業にする」(…

Horowitz / Scarlatti Sonata L23

1986年 モスクワ・ライブ 台所でコーヒーを作り、それを飲み、ラジオで「バロック音楽をあなたに」を聴きながら髭を剃る。日々曲目だけが変わる。昨日はたしかラモーの鍵盤音楽だった。 (村上春樹 『1Q84 BOOK2』 p.340) 不意にバロック音楽が聴きたくなる…

クロード・レヴィ=ストロース死去

「悲しき熱帯」レビストロース氏死去 「構造主義の父」 (www.asahi.com 2009年11月4日1時35分) 20世紀を代表する思想家で文化人類学者のクロード・レビストロース氏が死去したと、AFP通信が3日、出版社の情報として伝えた。100歳。今月28日には…

立花隆+佐藤優 『ぼくらの頭脳の鍛え方 必読の教養書400冊』

かつて、安原顯が編集していた文芸思想誌『リテレール』(メタローグ)が『読書の魅惑』『わが読書』といった特集号を組み、好奇心をそそる味わい深いブックガイドとして愛読した記憶がある(安原の晩年は村上春樹との一件でファンにとっても不幸だったが)…

冬構

秋葉原クロスフィールド上空に昇る満月 Book 1stにて、近代の東アジアにフォーカスを当てた地域史シリーズの第1巻『大人のための近現代史 19世紀編』(東京大学出版会)を購入。20時過ぎから冬の到来を告げる寒さ。北北西の風・最大瞬間風速16.4メートル、木…

太宰治 『ヴィヨンの妻』

手許の新潮文庫『ヴィヨンの妻』奥付は昭和49年9月20日・39刷とある。三島亡き後、現役作家では「第三の新人」と呼ばれた遠藤周作や吉行淳之介、安岡章太郎、阿川弘之らの世代が台頭し、大江健三郎や安部公房がカリスマ的人気を保っていた時代のことだ。 中…