オバマは日本で何を語ったか

「日米同盟軸に指導的役割」 オバマ大統領がアジア演説 (www.asahi.com 2009年11月14日11時19分)
 
 来日中のオバマ米大統領は14日午前、東京都内でアジア外交の基本政策について初の主要演説を行った。日米同盟を基軸と位置づけ、中国との連携も強調。米国がアジア・太平洋地域の問題に積極的に関与し、この地域で指導的役割を担う意欲を表明した。北朝鮮に対し、近隣諸国との関係正常化の前提条件として拉致問題解決を求めた。
 
 オバマ氏はまず日米同盟について言及。「両国の安全と繁栄の基盤であり続けてきた」と指摘した。
 オバマ、鳩山両政権が、ともに「変革」を掲げて政権交代をしたことや、来年が日米同盟の締結から50周年になることを踏まえ、「同盟の再確認にとどまらず、深化させる」と述べ、日米両国で地球規模の課題に共同で取り組む意欲を表明した。
 さらにオバマ氏は、太平洋に面した米国を「アジア太平洋国家」と定義。米国の将来が、急速な経済発展を遂げるアジア・太平洋地域と密接不可分な関係にあることを強調した。
 
 一方、アジアで急激に影響力を高める中国について、「21世紀に我々が直面する課題は、一国だけで解決できない。中国が世界規模の問題に積極的な役割を果たすことを歓迎する」と、実務的な協力を目指す姿勢を表明。「米国は中国を封じ込めるつもりはないし、中国との関係強化が(他国との)二国間同盟関係を弱めることにもならない」と述べ、米中の関係強化が、アジア・太平洋地域の利益になるとの考えを強調した。
 
 地域の経済問題については「今回の景気後退が我々に教えた重要な教訓の一つは、経済成長を米国の消費者と、アジアの輸出に頼ることの限界だ」とし、アジアの内需拡大を通じて、地域の経済構造を変革する必要性を訴えた。
 安全保障分野では、自らが掲げる「核なき世界」を日本と共に追求する考えを強調。一方で、日本や韓国などに対する核抑止力の提供(核の傘)は維持していくという方針を改めて確認した。
 
 北朝鮮に対しては、国際社会から孤立するより、6者協議に復帰して協調することが、北朝鮮の利益になると主張。日本人拉致被害者の行方がすべて明らかになるまでは、近隣諸国との関係正常化はありえないと警告した。
 ミャンマー問題では、軍事政権と対話を通じて関与していく姿勢をみせつつ、あくまで自宅軟禁が続く民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーさんの無条件解放を求め、民主化に向けた具体的行動を促した。
 
オバマ大統領のアジア演説骨子
・日本はアジア太平洋地域における米国の取り組みの中心的存在であり続ける
・中国との実務的な協力を追求、米国は中国封じ込めを目指さない
・東アジアサミットにいっそう正式な形での関与を期待
・日米ほど核兵器がもたらす結果を知る国はない。我々は共に核なき世界を追求
北朝鮮に貿易や投資、安全保障を与える用意。日本人拉致被害者の行方がすべて明らかになるまで隣国との完全な関係正常化はありえない
・米国は太平洋国家として地域での指導力を強化
 

「日米関係、90年代以降で最も対立的」 米紙報じる (www.asahi.com 2009年11月13日12時55分)
 
 12日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、翌日からのオバマ大統領の訪日を前に、「90年代の貿易戦争以降、最も対立的な両国関係」と解説する記事を掲載した。基地問題をめぐる沖縄県民の不満の高まりも紹介し、日米関係が「不確実な新時代に入ろうとしている」と報じた。
 
 背景として、米軍普天間飛行場の移転問題などを挙げたほか、9月の米ピッツバーグでのG20首脳会議の際、鳩山首相夫妻が夕食会に遅れてオバマ夫妻を待たせたなどとも指摘。ゲーツ国防長官が10月の訪日の際に圧力をかけたことも事態をこじらせたとした。
 一方、同日付のワシントン・ポスト紙は、米外交問題評議会のシーラ・スミス上級研究員の論文を掲載。米政府には日本への指図をやめるよう、日本には前向きな課題に取り組むよう求め、今回の訪日で未来志向の協議を始めるよう提唱した。