ほおを膨らます必要はない

ソ連体質に苦言 ロシア大統領が教書演説 (www.asahi.com 2009年11月13日1時35分)
 
 ロシアのメドベージェフ大統領は12日、モスクワのクレムリンで上下両院議員らを前に大統領就任後2度目の年次教書演説をした。ソ連体質をいまも引きずるロシア社会の現状を厳しく批判し、民主主義の価値に基づいてロシアを現代化するのが不可欠と強調。そのためにも世界と協調していく姿勢を示した。
 
 「ロシア製品の競争力は恥ずかしいほど低い」「汚職は発展の障壁だ」。大統領は何度も「現代化」を口にした。世界金融危機後、ロシアの経済の落ち込みが最も激しいと指摘。「非効率的な企業は市場から消えるべきだ」と、生産性の悪い国営企業は廃止する必要性を訴えた。技術水準を高めるため外国人研究者のビザ簡素化にも言及した。
 対外政策では、「ほおを膨らます必要はない」との表現で、必要以上に大国として振る舞おうとしない実利外交を強調。北大西洋条約機構NATO)との対立を望まないとする一方、昨夏のグルジアとの軍事衝突を例にあげ、「今こそ欧州での新たな安全保障条約づくりに全力をあげるべきだ」と話した。
(中略)
 演説にはプーチン前政権批判とも取れる部分があるが、メドベージェフ氏とプーチン首相の双頭体制は、頻繁な意思疎通による役割分担と連携で順調に機能しているとの見方が強い。プーチン氏の治安省庁出身者勢力とメドベージェフ氏のリベラル勢力とのせめぎ合いも、現状では2人の連携に吸収されている形だ。今回の演説に流れるリベラル色は、プーチン首相が目指す方向でもあると見られている。