2010-01-01から1ヶ月間の記事一覧

三島由紀夫 『奔馬 豊饒の海(二)』

舞台設定は昭和7年6月16日。その2年前、昭和5年11月に右翼青年・佐郷屋留雄による浜口雄幸首相狙撃事件が起こり、翌6年には陸軍中佐・橋本欣五郎や大川周明らによる三月事件(戦後発覚)と十月事件(未遂)、さらに物語が動き出す7年には血盟団事件と五・一…

阿佐谷神明宮

杉並区役所の喫茶コーナーで1時間ほどお茶して、動物クラフト展「内田芳明と動物の世界」を見る。阿佐谷神明宮まで散歩。 (左:阿佐谷神明宮拝殿、右:能楽殿) 本殿には阿佐谷神明宮御祭神、天照大御神をお祀りし、左右の摂社には、右に月読命、左に須佐之男…

「ライ麦畑の捕獲者」没す

「あの唄は知ってるだろう。『誰かさんが誰かさんをライ麦畑でつかまえたら』っていうやつ。僕はつまりね――誰かその崖から落ちそうになる子どもがいると、かたっぱしからつかまえるんだよ。つまりさ、よく前を見ないで崖の方に走っていく子どもなんかがいた…

Helping Yemen

対アルカイダ、イエメン政府を包括的支援 ロンドン会合(www.asahi.com 2010年1月28日21時24分) イエメンが国際テロ組織アルカイダの拠点となるのを防ぐための国際会合が27日、ロンドンで開かれ、経済や社会、政治の分野でイエメン政府を国際社会が包括的…

reference book

十月事件、血盟団事件、五・一五事件など、第2次若槻内閣から犬養毅内閣に至る時事の動向を簡単に俯瞰できる資料を探していて、結局、受験生向けの『山川 詳説日本史図録』を購入する。受験に関わる図書は廉価で、本書も900円でお釣りがくる値段。英和と独和…

Anfal Campaign とは何だったのか

「ケミカル・アリ」の死刑執行 イラク旧政権で化学兵器(www.asahi.com 2010年1月26日1時12分) イラク政府のダッバグ報道官は25日、旧フセイン政権の生物・化学兵器の責任者で「ケミカル・アリ」の異名を持つ元国防相のアルマジド被告の死刑を執行したと…

Thelonious Monk / Round About Midnight

誰が彼を「モロニアス・トンク」と呼んだのだったろう?

聖書ライフル

イラクやアフガンで「聖書ライフル」 米軍が使用(www.asahi.com 2010年1月24日9時23分) イラクやアフガニスタンで米軍が使っているライフル銃の照準器に、聖書の特定の章節を指す符号が記されていることが、米ABCテレビの調査報道でわかった。軍内の信…

史上最も困難な人道危機

ハイチ地震「史上最も困難な人道危機」 国連調整官(www.asahi.com 2010年1月23日20時7分) 国連のボルダック在ハイチ人道支援調整官は22日、大地震に見舞われたハイチの人道危機は「おそらく、史上最も困難な人道危機となる」と述べ、スマトラ沖地震・イ…

世界中で読まれた日記

丸善にてゴンクール兄弟『ゴンクールの日記(上)』(岩波文庫)、E・ブロンテ『嵐が丘(上)』(光文社古典新訳文庫)、『オバマ演説集』(岩波新書)、竹沢尚一郎『社会とは何か システムからプロセスへ』(中公新書)を購入。 ゴンクールの日記(上) (岩波…

多様なインド世界をつなぐもの

Book 1stにてマドレーヌ・ビアルドー『ヒンドゥー教の<人間学>』(講談社選書メチエ)、内田樹『邪悪なものの鎮め方』(バジリコ)を購入。 ヒンドゥー教の〈人間学〉 (講談社選書メチエ)作者: マドレーヌ・ビアルドー,七海由美子出版社/メーカー: 講談社…

収監者と忠誠心

北朝鮮、政治犯収容所に20万人 韓国政府が調査 (www.asahi.com 2010年1月20日19時31分) 韓国の政府機関・国家人権委員会は20日、北朝鮮の政治犯収容所に推定20万人が収監されているとする調査結果を発表した。脱北者のうち政治犯として収監された経…

じつに一匹のカンガルーであったと

丸善にて柄谷行人『トランスクリティーク』(岩波現代文庫)、中沢新一『虹の理論』(講談社文芸文庫)を購入。 虹の理論 (講談社文芸文庫)作者: 中沢新一出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/01/08メディア: 文庫 クリック: 22回この商品を含むブログ (6件)…

三島由紀夫 『春の雪 豊饒の海(一)』

高校時代に初めて読んだ時は、ある意味で三島らしい、衒学趣味に溢れた観念的・感傷的な「悲恋小説」の俗悪さが鼻につくとともに、「輪廻転生」という、そのいかにも作為的な物語の虚構性に興が冷め、巻を閉じてしまった。 けれども、それから30年余りが過ぎ…

権力闘争

鳩山政権vs検察、全面対決 首相「戦ってください」 (www.asahi.com 2010年1月17日1時38分) 民主党の小沢一郎幹事長は16日、自らの資金管理団体をめぐる政治資金規正法違反事件で東京地検特捜部が強制捜査したことについて、「私は到底、このようなやり…

不在

微かなせせらぎが深緑色に繁った木蔭から聞こえて来、その水源の在りかを求めて佇んでいると、足元に違和感を覚え、エラの張った小さな蛇が一匹、右足首に絡んでいるのに気がついた。慌てて躰を左右に動かし振り解こうとするが、執拗にしがみつく蛇はなかな…

Arturo Benedetti Michelangeli / Brahms - Ballade Op.10 No. 1 in D minor

何というテンポ、何という旋律。平凡な小品が奇跡の狂気に打ち慄える。80年代初頭、グラモフォンから発売されたABMのブラームス「4つのバラード」を聴くことは、至高の贅沢のように思われた。

アプリオリに

丸善にて中山元訳・カント『純粋理性批判 1』(光文社古典新訳文庫)、藤原正彦『名著講義』(文藝春秋)を購入。大学に入ってすぐ、ドイツ文学の教授から「文学をやるならカントを読め」と言われ、岩波文庫を参照にしながら、レクラムのKritik der reinen …

何の社会的影響力もなく

「ゼロ年代」の思想・批評は「スカスカ」だった、と語る。それが、2000年から10年間の総括だ。 オウム事件や阪神大震災が起きた1990年代のように、社会の地殻変動を象徴する現象も見あたらず、千人、二千人にしか流通しない言葉が再生産されただけ。 「何の…

1冊を5分間だけ読む

鳩山首相:「勉強したい」…内田樹さんの本など28冊購入 (毎日新聞 2010年1月11日19時43分) 鳩山由紀夫首相は11日、東京・丸の内の書店「丸善・丸の内本店」を訪れ、経済書や思想書など計28冊を自費で購入した。記者団から経済書などが多かった理由を…

丸山真男+加藤周一 『翻訳と日本の近代』

岩波書店『日本近代思想大系』の一冊、『翻訳の思想』(加藤周一・丸山真男編 1991年9月刊行)の編集を念頭において、「加藤周一が丸山真男に発した質問に、丸山が応えた内容を整理」(本書あとがきより)したもの。「ペリー艦隊来航のころから日露戦争まで…

だが私は本当にそんなものを見たのだろうか

書原にて佐藤光『マイケル・ポランニー「暗黙知」と自由の哲学』(講談社選書メチエ)、山形孝夫『聖書の起源』(ちくま学芸文庫)、トルーマン・カポーティ/村上春樹訳『誕生日の子どもたち』(文春文庫)、サライ2010年2月号(特集:『遠野物語』を旅する…

運命を知らず

丸善にて大佛次郎『天皇の世紀 1』『終戦日記』(文春文庫)、小谷野敦『文学研究という不幸』(ベスト新書)を購入。 天皇の世紀(1) (文春文庫)作者: 大佛次郎出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2010/01/08メディア: 文庫 クリック: 12回この商品を含むブロ…

神経神話に踊らされる

脳研究の「神話」独り歩きに警鐘 日本神経科学学会(www.asahi.com 2010年1月8日20時15分) 脳科学研究の成果が、脳ブームに伴って拡大解釈されて広がっていることなどを懸念し、日本神経科学学会は8日、研究指針の改定を発表した。脳活動の測定方法の安全…

物議を醸す行為

ローマ法王、政治は苦手? 「尊者」認定でユダヤ人反発 (www.asahi.com 2010年1月6日4時2分) 今年就任5年を迎えるローマ法王ベネディクト16世が、ユダヤ人社会からの批判に直面している。昨年、中東のキリスト教聖地を歴訪した際は「他宗教との対話」を…

不安を自己実現させるもの

この国の株価水準はまだ低く、景気に明るさは見えない。加えてのデフレ傾向。将来への不安に満ちている。 「その『不安』が経済ではやっかいなんです。経済動向には人間の心理作用が強く働きます。不安を抱くことがその不安を自己実現させてしまう、というこ…

ロバート・イーグルストン 『ポストモダニズムとホロコーストの否定』

本書は「Postmodern Encounters」(ポストモダンの出会い)シリーズの1冊として2001年に刊行されたRobert Eaglestone 'Postmodernism and Holocaust Denial' の翻訳である。2000年春に起こったアーヴィング裁判をテーマに、「ホロコースト否定論」(否認主義…

同じ意見を持たなければならないのなら

武者小路実篤、戦争支持派とは一線 魯迅弟へ手紙で本音 (www.asahi.com 2010年1月4日3時2分) 小説「友情」などで知られる作家の武者小路実篤(1885〜1976)が、中国人作家の魯迅の弟にあてた手紙の実物がみつかった。44年ごろのもので、第2次世…

深大寺

都内では浅草寺に次ぐ古刹として知られる深大寺(天台宗別格本山浮岳山昌楽院深大寺)は、正月三が日に約20万人の初詣参拝者を迎える。とりわけ除夜から祈願が始められる「修正会大護摩供(しゅしょうえおおごまく)」は有名で、「千年以上にわたって深大寺…

忘れるために読むのか

2010年は「国民読書年」ということで、朝日新聞が元日の別刷「読む スタイル」に、大江健三郎への取材記事を掲載している。 紙面には、万年筆で書き込みがなされた蔵書(ハーバート・ノーマン『忘れられた思想家――安藤昌益のこと』に寄せた論文?)の見開き…