不安を自己実現させるもの

 この国の株価水準はまだ低く、景気に明るさは見えない。加えてのデフレ傾向。将来への不安に満ちている。
 「その『不安』が経済ではやっかいなんです。経済動向には人間の心理作用が強く働きます。不安を抱くことがその不安を自己実現させてしまう、ということがあって
 
 「質素、倹約に努めるという個々人の美徳的な傾向が、まとまれば結果として、さらに人々の生活を脅かすものになる。昔から多くの経済学者が指摘していますが、浪費や美食などの多少の悪徳を許して経済を刺激しないと、経済は生きていけないのです」
 
岩井克人インタビュー「後は上向くのみの『希望』」より一部抜粋 朝日新聞2009年1月6日付朝刊)