権力闘争

鳩山政権vs検察、全面対決 首相「戦ってください」 (www.asahi.com 2010年1月17日1時38分)
 
 民主党小沢一郎幹事長は16日、自らの資金管理団体をめぐる政治資金規正法違反事件で東京地検特捜部が強制捜査したことについて、「私は到底、このようなやり方を容認することはできない。断固として戦っていく決意だ」と語り、検察当局を厳しく批判した。鳩山由紀夫首相も小沢氏に「戦ってください」と伝え、支持する考えを表明した。
 首相のこうした発言によって、昨年3月の西松建設の違法献金事件に端を発する一連の問題は、小沢氏と検察の対立から、鳩山政権と検察の全面対決に発展する異例の事態になった。
 
 16日、東京・日比谷公会堂での民主党大会。小沢氏は「党大会の日にあわせたかのように、逮捕が行われている。これがまかり通るならば日本の民主主義は本当に暗澹たるものになってしまう。非常に憂慮している。何としても納得できない」と述べた。
 首相も「私は民主党代表として小沢幹事長を信じている。臆することなく自らの潔白を説明し、職務の遂行に全力を挙げて頂くことを要請する」と語り、改めて幹事長続投を容認した。
 首相は小沢氏を支援し続ける構えだ。最高実力者の小沢氏を失えば、自らの政権基盤が危うくなるのは火を見るよりも明らかだ。一方の小沢氏。政権党の中枢から離れれば、検察当局への対抗力を一気に失いかねない。
 
 2人は党大会直前に首相公邸で会談。首相は小沢氏の幹事長続投を認めた上で、検察との対決を宣言する小沢氏に「どうぞ戦ってください」と伝えたことを自ら記者団に明かした。その後、公邸に入った菅直人副総理も首相の判断を了承。政権全体で検察との闘争に踏み込む姿勢を見せたことになる。
 
 党内からは「政権も党も小沢氏と一蓮托生ということだ」(ベテラン議員)、「憲政史上初の検察と戦う政権党になった」(中堅議員)などといった声が上がる。
(後略)
 
逮捕前日「理不尽な世界つらい」 石川議員、佐藤優氏に (www.asahi.com 2010年1月17日4時30分)
 
 元外務省主任分析官の佐藤優氏は16日、朝日新聞の取材に対し、逮捕直前の衆院議員、石川知裕容疑者の様子を明らかにした。西松建設の違法献金事件で小沢一郎民主党幹事長の公設第1秘書、大久保隆規容疑者が逮捕された昨年3月以降、小沢氏側の相談を受ける形で石川議員とも知り合ったという。
 
 東京地検特捜部の聴取が本格化した先週から、佐藤氏は石川議員と携帯電話で連絡を取り合ってきた。14日は3回。石川議員は「特捜部の検事は自分の話を少しも聞いてくれない」と嘆き、「両親が心配しているので毎日電話している」「こんな理不尽な世界で政治家をやっていくのはつらい」と話したという。
 15日の聴取はなく、石川議員に緊張した様子はうかがえなかった。だが、夜になって地検から出頭要請があった。最後の電話で、石川議員は佐藤氏に「調べに応じているのに逮捕されるなんてことがあるんですか」と不安げに尋ねたという。
 
 佐藤氏は外務省在職当時、鈴木宗男衆院議員の側近とされ、鈴木議員に対する一連の捜査の過程で、背任などの罪で起訴され、有罪が確定した。その時の捜査を「国策捜査」と批判した佐藤氏だが、「今回は国策捜査ではなく、民主党と官僚組織の権力闘争だ」と指摘した。