深大寺

 都内では浅草寺に次ぐ古刹として知られる深大寺天台宗別格本山浮岳山昌楽院深大寺)は、正月三が日に約20万人の初詣参拝者を迎える。とりわけ除夜から祈願が始められる「修正会大護摩供(しゅしょうえおおごまく)」は有名で、「千年以上にわたって深大寺に伝えられてきた天台密教の秘法と御参詣の皆様方との真摯な祈りとが合わさった堂内はさながら法悦の境地と化し、新年を迎えるにあたりもっとも相応しいひとときとなる」(深大寺ホームページより)という。人いきれでは境内を楽しむ余裕もないので、一足早く大晦日に訪ねた。
 

 
門前町から山門へ。1695年建造で、現存する建築物としては深大寺で最も古い。
 

 
本堂には阿弥陀三尊像が安置されている。
 

 
梵鐘(重要文化財
 

 
元三大師堂
 

 
釈迦堂 白鳳仏(国重要文化財
白鳳仏は金銅釈迦如来倚像と言われ、深大寺明細帖に「立像にあらず 座像にあらず」と記されている。調布市観光協会のホームページによると、白鳳仏は明治42年に大師堂檀下から見つけられたもので、7世紀末の製作とみられている。この仏像の伝来や、深大寺との由縁は不詳。
 

 
深沙大王堂
昭和43年再建。かつては大きな鳥居もあったが、、明治の神仏分離令により取り壊されたという。秘仏深沙大王像が安置されている。
 

 
延命観音
秋田県象潟港工事の際に、海底の大石を引き上げたところ慈覚大師自刻の延命観音が刻まれてあり、縁あって深大寺に奉安された。
 
 頬や耳朶を凍らすような木枯らしの中、炊かれた香のきつい匂いが目を湿らせる。深大寺には芭蕉(象潟やあめに西施が合歓の花)をはじめ、高浜虚子(遠山に日の当りたる枯野かな)、それに教科書にも取り上げられた中村草田男(萬緑の中や吾子の歯生え初むる)など10を超える句碑・歌碑が散在する。特に、釈迦堂の奥の山道を登った深山茶屋の先に広がる三昧所墓地には石田波郷の墓がある。
 

 
吹き起こる秋風鶴を歩ましむ

百方に餓鬼うづくまる除夜の鐘