聖火の奇跡
天から届いた「聖火の奇跡」 エルサレムの教会で儀式 (www.asahi.com 2013年05月06日08時25分)
エルサレム旧市街にあるキリスト教の聖地「聖墳墓教会」で5日、ギリシャ正教やアルメニア正教などの東方正教会の復活祭を迎えたが、前日の4日、正教会恒例の「聖火の奇跡」の儀式が行われた。
教会は午前中から地元のパレスチナだけでなく、ギリシャ、ロシア、ルーマニア、エチオピアなど世界中の正教会の巡礼者で埋まった。記者も特別に許可を得て、教会の中に入った。
身動きもできない教会の中で待つこと2時間半。午後2時すぎ、突然、鐘の音が響き渡り、巡礼者の間から悲鳴のような歓声があがった。ギリシャ正教の総主教が、キリストが埋葬されたとされる神殿に入り、火がついたろうそくを持って出てきた瞬間である。火は天から送られてきたと信じられ、「聖火の奇跡」と呼ばれる。
鐘が激しく打ち鳴らされ、信者たちは叫びながら手に手にろうそくの束を掲げて火を受け渡していく。あっというまに教会はろうそくの火で埋まり、興奮で満たされた。この儀式はキリストの復活を象徴する奇跡と信じられている。
この聖火は手をつけても熱くない、という言い伝えもある。だが記者には信仰心が足りないためか、群衆が高く掲げるろうそくの炎が近づいてきた時、カメラを掲げた腕に焼けるような熱さを感じた。炎が隣の人の服や髪の毛を焦がすのではないかと気が気でないし、上からは溶けたろうが落ちてくる。年によっては、儀式の実施を巡って異なる宗派間で争いが起こることもあるが、今年は平穏に終わった。