「世紀の裁判」は憎悪を裁き得るか?

10人殺害事件、ネオナチ公判始まる 独「世紀の裁判」 (www.asahi.com 2013年5月7日19時4分)
 
 ドイツで外国人を敵視するネオナチの3人組がトルコ人ら計10人を殺害した事件の公判が6日、南部ミュンヘンで始まった。国内で「世紀の裁判」(DPA通信)として注目を集めた初公判は、裁判長が予断を抱いているという理由で弁護側が忌避を申し立てたため、起訴状の朗読に至らないまま14日まで延期された。
 
 「国家社会主義地下運動」を名乗った男女3人組が2000年から07年にかけてドイツ各地で、トルコ出身者8人、ギリシャ出身者1人、ドイツ人警官1人を射殺したとされる。男2人が11年に銀行強盗を起こして自殺した後、ベアテ・チェーペ被告(38)が住んでいた家屋に放火し、出頭した。
 
 独メディアによると、チェーペ被告はこれまでほとんど供述しておらず、法廷でも黙秘する方針だという。すでに裁判の長期化が予想されている。
 
 外国人への憎悪が動機とされる連続殺人は独社会に衝撃を与えた。3人が長期間にわたって国内に居住しながら犯行を続けていたことで、捜査ミスや治安機関の機能不全についての議論も続いている。被害者の遺族は治安機関への不信を強めており、公判の場での解明を求めている。