血管から運び屋ウイルスを注入する

アルツハイマーに新治療 「遺伝子運び屋」を血管注入 (www.asahi.com 2013年03月20日11時47分)
 
 理化学研究所と長崎大などのチームは、アルツハイマー病に対する新しい遺伝子治療の手法を開発し、マウスの認知症状を大幅に改善させることに成功し、18日付英科学誌サイエンティフィック・リポーツに発表した。
 
 アルツハイマー病は、ベータアミロイドと呼ばれる異常なたんぱく質が脳に蓄積して起きる。ネプリライシンと呼ばれる酵素が減って蓄積が起きると考えられており、この酵素を増やす狙いで、遺伝子の運び屋のウイルスを使った遺伝子治療がヒトで試みられているが、頭蓋骨に穴を開けて脳に注射する必要があった。
 
 そこで理研脳科学総合研究センターの西道隆臣シニアチームリーダーと岩田修永・長崎大教授らは、血管に注入するという簡単な方法で、脳だけで遺伝子のスイッチが入るように工夫したウイルスを開発した。
 
 このウイルスにネプリライシンの遺伝子を組み込み、アルツハイマー病のマウスの血管に注入して5カ月後に学習・記憶能力を確認したところ、健康なマウスと同じレベルに回復。ベータアミロイドの蓄積も減っていた。
 
 このウイルスを応用できれば、アルツハイマー病だけではなく、他の脳の病気の治療にも使える可能性があるという。