隕石が降ってくる

突然、火の玉が 衝撃で吹き飛ぶ扉、転ぶ人 ロシア隕石 (www.asahi.com 2013年02月15日21時48分)
 
 朝焼けの冬空に突然、火の玉が現れ、強烈な光を放ちながら一直線を描いて地上に向かった――。ロシア・ウラル地方のチェリャビンスク州付近に15日朝に落下した隕石。現地からの映像や住民の証言などから、そのすさまじい衝撃力と地元の混乱ぶりが伝わってきている。
 
 地元報道によると、午前9時20分ごろに飛来した隕石の破片は数百キロの範囲に散らばったが、爆発の際の衝撃はすさまじく、多数の建物のガラスや扉が吹き飛ばされ、一瞬のうちに数百人が負傷。衝撃波で転倒した人も多数にのぼった。
 
 チェリャビンスクの演劇学校の生徒、メリホワさんとスモリナさんの2人は地元メディアに「教室で閃光を見て、外に見に行こうとした時に扉のガラスが割れてけがをした。病院に行くと、足やほおなどを切った人たちが治療を受けていた」と話した。
 
 ノーボスチ通信によると、州都チェリャビンスク市の屋内スケート場でスケートを楽しんでいた多数の子供が、衝撃で一斉に転んだ。目撃したアレクサンドラ・マルテンツさんは「屋根を支えるはりが揺れ、壁の一部が崩れた。みんなスケートを履いたまま出口に殺到した」と話した。
 
 落下地点の近くに住む男性はラジオ局の取材に「家にいたら、突然、部屋全体が光でいっぱいになり、一瞬で消えた。その直後にすごい音が聞こえた」。子供と公園を散歩していた母親は「隕石が真上を通り過ぎた時、衝撃波で転んでしまった。泣きじゃくる子供を抱えて、近くの建物に駆け込んだ」と証言した。
 
 地元薬局には、けがの治療のための包帯や、精神的ストレスを和らげるための鎮静剤などを買い求める住民が殺到しているという。
 
 インタファクス通信が地元住民から得た情報によると、チェリャビンスク市から約40キロ離れたコルキノ市では、爆発直後から大勢の市民が車で街から避難を始めているという。
 
 チェリャビンスク州知事は、州政府のすべての医療、治安、消防機関の職員が職場に出ることを求めた。ロシア緊急事態省は、多数の住民が負傷しているため、同州に救急隊員約2万人を派遣。内務省は治安維持のために1万人近くの警官を動員したという。