新たな課題へと導いてくれる自然

山中さん「自然も師」 ノーベル賞で記念講演会 (www.asahi.com 2012年12月8日02時07分)
 
 iPS細胞(人工多能性幹細胞)を開発し、今年のノーベル医学生理学賞を受賞する山中伸弥・京都大教授が7日午後(日本時間同日夜)、ストックホルム市のカロリンスカ医科大で記念講演した。若いころの挫折やiPS細胞誕生までの軌跡をジョークをまじえて語り、満員の会場を何度もわかせた。
 
 山中さんは濃い色のスーツにあずき色のネクタイ姿。ネクタイはノーベル物理学賞を1973年に受賞した江崎玲於奈さんからもらったものという。
 
 講演では、手術が下手で整形外科医をやめ、研究者に転向した下積み時代の思い出を披露。仮説に反する実験結果が出ると喜びを感じ、それが研究を続ける糧になったという。当時の指導教官らの励ましも大きかったといい、「私も彼らのようになりたいが難しい。予想もしないことを教えてくれ、新たな課題へと導いてくれる自然そのものも師だ」などと話した。
 
 来場した家族にも感謝を述べ、滞在先のホテルに残った母・美奈子さん(81)に「伸弥の英語は下手で分からないから行かないと言われた」と話して笑わせ、講演を締めくくった。
 
 演壇から降りた山中さんは日本の報道陣に「英語が大阪弁のようなアクセントになってしまい60点の出来」と述べた。