若返るヒヨコ

脳「若返り」ホルモンで可能? ヒヨコ、成長後も親認識 (www.asahi.com 2012年10月22日11時35分)
 
 脳の「若返り」が、ホルモンでできるかもしれない。そんなことを期待させる論文を、帝京大などのチームが英科学誌ネイチャーコミュニケーションズに発表した。生まれた直後のヒヨコが親を覚える学習「刷り込み」が、少し成長したあとでもホルモン投与で可能になることを示した。
 
 刷り込みは、生後間もないニワトリやカモのヒナが、初めて見る動くものを「親」と思い、追いかける行動。通常、孵化から2〜3日目までしか起きない。
 
 帝京大の本間光一教授らは、孵化直後のヒヨコで実験。孵化から1日目にブロックを「親」に見立てて3時間刷り込みの訓練をしたら、ヒヨコの脳で甲状腺ホルモンが増えていた。このホルモンを阻害する薬を与えたヒヨコは、訓練を受けても「親」を覚えられなかった。
 
 3日目までに訓練しないと刷り込みが起こらなかったが、甲状腺ホルモンを注射すると、最も遅い場合、6日目から訓練を始めても「親」を覚えられたという。
 
 本間さんは「甲状腺ホルモンに全く新しい作用があることがわかった。今後、仕組みを解明すれば、人間が適切な時期に学習し損ねても、取り戻すことができるようになるかもしれない」と話す。