佐藤優 『読書の技法』

 久しぶりに週末、仕事でなく読書に時間が当てられる。本書は功利主義者による読書術。週刊東洋経済に連載中のエッセー「知の技法 出世の作法」の中から、読書に関する部分を大幅に加筆、編集したもの。
 
 「本に囲まれた仕事場」「本は『汚く』読むことが大切」「ぶ厚いノート1冊主義」という巻頭のカラー口絵が興味深い。カール・バルトとゴルビッツァーという神学者の名前が、学Y時代のI教授を思い出させて懐かしい。
 
 それにしても、カントのように正確に時間を決め、月平均300冊、多い月で500冊と、まるでセロリかキュウリのスティックでもボリボリ囓るように読書をこなす健啖ぶりに圧倒される。第3部「本はいつ、どこで読むか」のテーマで著者の体験談をもう少し聞かせて欲しかった。