国家基幹技術

100兆分の1秒を観察 夢の光・XFEL施設公開 (www.asahi.com 2010年9月18日7時1分)
 
 細胞の働きや、化学反応の仕組みを原子レベルで観察できる夢の光「X線自由電子レーザー」(XFEL)の施設が兵庫県上郡町にほぼ完成し、17日、報道機関に公開された。世界有数の性能を誇る大型放射光施設「スプリング8」より、10億倍強い光が出せる。基礎科学だけでなく、新薬や電池の開発などに役立つという。10月に試運転を始める。
 
 XFELはX線とレーザーの優れたところを併せ持つ光。施設はスプリング8に隣接し、長さ約700メートル。理化学研究所などが2006年から約400億円かけて建設した。次世代スパコン高速増殖炉と同じ「国家基幹技術」と位置づけられている。
 
 電子を128台並ぶ加速器でほぼ光の速度まで加速。さらに磁石でジグザグに揺らし、XFELの光を生み出す。0.1ナノメートル(ナノは10億分の1)の世界で、100兆分の1秒に起きる現象を見分けられる。
 
 石川哲也・理研播磨研究所長は「スプリング8ではできなかった、ナノの世界で物事が実際に働く様子を切り取ってみることが出来る」と話している。