宮台真司 『14歳からの社会学 これからの社会を生きる君に』

 宮台真司の公式ブログ『MIYADAI.com Blog』によると、『14歳からの社会学 これからの社会を生きる君に』が、書店に並んで2か月で5万部を売ったという(1月21日現在)。
 はじめ、著者の『〈世界〉はそもそもデタラメである』を読もうかと思っていたのだが、たまたま書店の立ち読みで目にしたところが「オタク映画(?)批評」に関する部分で、『リアルのゆくえ』(大塚英志×東浩紀)以来、この種の議論にはいささか辟易していたので、本書『14歳からの〜』を購入することにした(ただし、著者のブログによると「倫理の政治をめぐる入門篇=『14歳からの社会学』、上級篇=『〈世界〉はそもそもデタラメである』という位置づけ」とのこと)。
 
 中学生向けに書かれた本なので、内容も文体も著者にしては全体にずいぶん柔らかい。こうした本を読むときに、その柔らかな手触りの中から、どれだけ快い・意外性に満ちた刺激に出会えるかが楽しみなのだが、その意味では「7 <自由>への挑戦」と「8 BOOK&MOVIEガイド」が面白かった。
 
 宮台の「エリート主義」(民主政治が「衆愚政治」になるとき〜タフな「エリート」の育成が必要)と露悪趣味(<世界>は思い通りにできない)が鼻につく“大人”にはとても勧められないが、かと言って、本当に尖った14歳ならば、この種の“温い本”には手を出さないかもしれない。