興奮する脳

脳の興奮、寝付きに影響 筑波大グループが裏付け (www.asahi.com 2013年06月20日
 
 起きているときの経験が寝付きやすさに影響することを、筑波大の柳沢正史教授らの研究グループがマウスの実験で突き止めた。「脳が興奮した状態のままだと、ベッドに入っても目がさえてなかなか眠れない」といった、私たちの日常経験を裏付ける結果という。米科学アカデミー紀要に論文が掲載された。
 
 実験ではマウスを二つの集団に分け、本来は眠る時間帯に6時間にわたって眠らせないようにした。
 
 一つ目の集団は、眠りそうになるたびに体に触れて睡眠を邪魔し、「嫌々ながら起きている」状態にした。一方、もう一つの集団は巣箱を1時間ごとに交換して新しい環境に興味を持たせて自発的な探索行動を起こさせ、「自発的に起きている」状態にした。
 
 その結果、嫌々起きていたマウスは、眠れる環境を与えると2〜5分ですぐに眠りに落ちたのに対し、自発的に起きていたマウスは眠るまでに15〜20分かかった。どちらのグループも断眠は6時間で、睡眠不足の程度は同レベルであることから、自発的な探索行動をしたマウスは脳の興奮状態が続いて寝付きにくくなったと考えられるという。
 
 柳沢教授は「これまで経験的に言われていたことを、科学的に検証することができた。徹夜明けで睡眠が必要な人でも、興奮した状況が続くと眠気を感じないことがある。いわゆる眠気が吹っ飛ぶという状況も、今回の実験から説明できる」と話している。