悪性がんを作製する

ES細胞から悪性がん作製 発症のしくみ解明に期待 (www.asahi.com 2013年05月16日10時50分)
 
 ES細胞(胚性幹細胞)から悪性度の高いがんをつくることに、国立成育医療研究センター研究所や慶応大のチームがマウスで成功した。がんが発症するしくみの解明につながると期待される。15日付の米科学誌プロスワンで発表した。
 
 同研究所の阿久津英憲・幹細胞・生殖学研究室長らは、マウスの精子卵子の遺伝子を操作して、赤ちゃんの臓器をつくるのに欠かせないたんぱく質βカテニン」ができない受精卵を作製。そこからES細胞をつくり、性質を知るためにマウスの背中に移植した。
 
 普通のES細胞からは、さまざまな組織の細胞が混じった良性の腫瘍ができるが、このES細胞では、多種類の細胞に分化する能力を持たない上、がんができた。卵巣や精巣、脳などにみられる3種類のがん細胞が混じった、特に悪性度が高いがんという。
 
 βカテニンは、過剰に作られても、大腸がんや胃がんなどにつながることが知られている。阿久津さんは「βカテニンをつくる遺伝子の働きを調べることで、がんの早期発見や診断、治療法の開発につながる可能性がある」と話している。