コントロールできるものを恐れるべきではない

アンジー、がん予防へ乳房切除 母親は闘病死、自らも変異遺伝子 (www.asahi.com 2013年5月15日)
 
 米女優のアンジェリーナ・ジョリーさん(37)が14日、乳がん予防のために両乳房の切除手術を受けたことを明らかにした。がんになる確率が高い遺伝子の変異を持っているためといい、同日付のニューヨーク・タイムズ紙に「私の医学的選択」と題した文章を投稿し、経緯を説明した。
 
 母親が約10年間がんと闘病し、56歳で亡くなったというジョリーさんは、自分も「BRCA1」という遺伝子に変異があり医師から「乳がんになる確率が87%、卵巣がんの確率が50%」と告げられて手術を決断したと告白。乳房を切除し、インプラントで再建する手術を3カ月かけて受けた。乳がんになる確率は5%以下になったという。
 
 ジョリーさんによると、事実婚の相手で同じく俳優のブラッド・ピットさん(49)も手術を支持し、その間ずっと病院に付き添ったという。
 
 投稿では「この記事を読んでいる女性には、選択肢があることを理解してほしい」と記し、「人生には多くの挑戦が伴うが、受け止め、コントロールできるものを恐れるべきではない」と結んだ。
 
■卵巣は国内でも
 
 国内でも、遺伝子BRCAに変異が見つかった女性で、予防的に卵巣を切除する臨床研究が行われている。がん研有明病院では2011年秋から行われ、これまでに約10人で切除された。同病院・遺伝子診療部の新井正美部長によると、予防目的で乳房切除の実施を公表している病院は国内にはまだないという。新井さんは「卵巣がんは予防切除で死亡を減らせると科学的にわかっている。乳房の切除で、がんの発生率は下げられるが、がんによる死亡率まで下げられるかは、まだはっきりしない」と話す。