カメと恐竜

カメはトカゲより恐竜に近い ゲノム解読、論争に決着 (2013年04月29日09時00分)
 
 カメは同じ爬虫類のトカゲやヘビのグループより、ワニや恐竜のグループと進化の起源が近いことが、理化学研究所や東京医科歯科大などの国際共同研究グループによる全遺伝情報(ゲノム)解読でわかった。28日付の米科学誌ネイチャー・ジェネティクス(電子版)に発表する。
 
 カメは背骨と肋骨がくっついてできた甲羅など独特の特徴を持つ。約2億2千万年前には存在したことが化石から判明しているが、その起源はトカゲやヘビに近いのか、恐竜や鳥類と同じ系統のワニに近いのか、それとも全く独自に進化したのか議論が続いてきた。
 
 理研などのグループは約2年かけてスッポンとアオウミガメのゲノムを解読。ほかの脊椎動物と遺伝子の塩基配列を比較・分析した結果、カメはワニ、恐竜、鳥類などから、約2億5千万年前に分かれ、近縁だったことを突き止めた。
 
 理研発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の入江直樹研究員は「カメの祖先をめぐる長年の論争にようやく決着がついた。今後、カメの独特の進化過程や、脊椎動物全体に共通する進化の仕組みの解明を進めたい」と話している。
 
 また、スッポンは、においのセンサーである受容体の遺伝子が1137個あり、ラット(1207個)と並んで脊椎動物で最大級であることもわかった。特に水に溶けやすいにおい物質の受容体が多い。犬(811個)やヒト(396個)よりも、多種類のにおいを嗅ぎ分けられるが、わずかな量で感度よくわかるわけでは必ずしもないという。