アベノミクスは絶好調

「正社員を解雇しやすく」 安倍政権の有識者会議で議論 (www.asahi.com 2013年03月07日16時54分)
 
 安倍政権が発足させた有識者会議で、「労働市場の流動化」が大きなテーマになっている。衰退産業から成長産業への労働力の移転を促す狙いだ。流動化を実現するために、今よりも正社員を解雇しやすくするべきだという意見も出始めた。
 
 6日開かれた産業競争力会議の分科会では初めて雇用問題が話し合われた。委員から「労働移動の支援を重視すべきだ」「流動性を高めるための前向きな制度が必要」など、「労働力の流動化」を求める声が相次いだ。解雇規制についても「解雇が認められる場合の合理性を法律で明確にできないか」といった意見があったという。
 
 労働市場の流動化は、産業競争力会議と連携する規制改革会議(議長・岡素之住友商事相談役)でも話し合われている。
 
 規制改革会議が今後議論するテーマの一つにあげているのが、「労使双方が納得する解雇規制の在り方」。具体策として焦点になりそうなのが「解雇の金銭解決」だ。
 
 現在の法制度では従業員の解雇を裁判所が認めずに無効になった場合、「原職復帰」しかない。しかし、実際には職場に戻りづらく、一定のお金を受け取って辞めるケースが多い。「解雇の金銭解決」は、こうした場合に、会社が一定の水準のお金を払うことで解雇できるようにするもの。これまでも制度化が提案されたことがある。
 
 産業間で労働力を円滑に移転させないと、経済は活性化しない。失業率が高い若者が働く場所を確保する必要もある。そのためには労働市場の流動化が欠かせない。解雇しやすくすることがその一歩になる――。これが解雇規制の緩和を主張する人々の論理だ。
 
 ただ、規制緩和だけでは、解雇が横行する社会になる危険性がある。6日の分科会でも「働いている人を守るセーフティーネットが欠かせない」という指摘があったという。
 
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産業競争力会議〉 アベノミクスの3本目の矢である「成長戦略」を6月までにまとめる。安倍晋三首相が議長を務め、民間議員は10人。議論を深めるために、「産業の新陳代謝の促進」「人材力強化・雇用制度改革」「農業輸出拡大・競争力強化」などテーマ別に七つの分科会がつくられ、6日から民間議員が議論を始めた。