北朝鮮が核実験

「3度目の地下核実験に成功」 朝鮮中央通信が発表 (www.asahi.com 2013年2月12日15時2分)
 
 北朝鮮朝鮮中央通信は12日、「3回目の地下核実験を成功裏に実施した」と発表した。韓国気象庁は同日午前11時57分ごろに、北朝鮮北東部で「人工地震とみられる揺れ」を観測したことを明らかにした。韓国国防省報道官は「核実験と推定している」と述べた。実施は2006年10月と09年5月に続き3回目で、金正恩体制では初めてとなる。国連安全保障理事会は緊急会合を開く。
 
 過去2回は北東部の咸鏡北道(ハムギョンブクト)・豊渓里(プンゲリ)の核実験場で実施しており、今回、揺れが観測された場所もこの周辺だという。韓国国防省報道官は会見で、北朝鮮が事前に核実験の実施を米中に通報していたとの認識を示した。
 
 韓国の李明博大統領は午後1時に国家安全保障会議を緊急に招集。朴槿恵(パククネ)次期大統領も情勢報告を受け、対応策を協議する。緊急核実験と確認されれば、国連安全保障理事会も緊急に招集される見通しで、朝鮮半島の緊張が高まるのは必至だ。
 
 北朝鮮が昨年12月12日に「人工衛星の打ち上げ」として長距離弾道ミサイルの発射実験に踏み切ったのに対し、国連安保理が1月22日に制裁決議を採択。北朝鮮はこれに強く反発して同24日に、「高い水準の核実験」を実施すると予告していた。
 
 韓国政府は衛星写真の分析などから、北朝鮮が豊渓里で核実験の準備をすでに終え、金正恩第1書記の政治判断次第でいつでも実験ができる状態になっているとみて、監視と警戒を強めていた。
 
 韓国気象庁によると、11時57分ごろに豊渓里を含む咸鏡北道吉州郡でマグニチュード(M)5・0程度の地震を観測した。06年の核実験でMは3・6、09年はM4・4だったという。
 
 今回の核実験は、核爆弾の小型化を目指したものとみられている。北朝鮮は、昨年12月に米本土をうかがう長距離弾道ミサイルの発射実験に成功しており、小型化への道筋がつけば米国にとっては大きな脅威になる。
 
 また、過去2回の核実験ではプルトニウムを使ったとみられているが、北朝鮮はこの間、ウラン濃縮活動を続けてきており、今回は高濃縮ウランを使った可能性もある。
 
 北朝鮮は昨年2月の米朝合意でウラン濃縮活動や核実験、長距離ミサイル発射の一時停止を約束し、米国は事実上の見返りとして栄養補助食品など24万トンを支援することになったが、北朝鮮は「人工衛星の打ち上げは宇宙の平和利用で、米朝合意に反しない」として4月に発射実験を強行。この時は失敗したが、昨年12月に再び発射実験をし、成功させた。
 
 北朝鮮には、ミサイル発射に続く核実験で自らの脅威を最大限に高め、米国を体制保障をめぐる交渉に引き出す狙いがあるとみられる。米国は安保理を通じて新たな制裁決議などを目指すとみられるが、北朝鮮の「核とミサイル」の脅威が現実のものになれば、難しい対応を迫られそうだ。
 
     ◇
 
 北朝鮮の核実験の可能性を受け、菅義偉官房長官が12日午後0時半すぎに行った記者会見の全文は、次の通り。
 
 「11時59分ごろ、気象庁が、北朝鮮付近を震源地とする、自然地震でない可能性のある地震波を観測した。過去の事例を踏まえると、地震は、北朝鮮による核実験の実施に伴い発生した可能性がある。気象庁によると、地震の発生時刻は12日11時57分50秒。地震震源は北緯41・2度、東経129・3度、深さ0キロ。地震の規模はマグニチュード(M)5・2とされる」
 
 「地震波の報告を受け、関係省庁幹部を官邸に緊急参集。11時59分、『北朝鮮関連情勢に関する情報連絡室』を『北朝鮮による核実験実施情報に関する官邸対策室』に改組した。また12時45分から安全保障会議を開催し対応を協議する」
 
 「首相には地震波の探知を直ちに報告。(1)関係省庁においては緊張感を持って情報収集・分析に努めること(2)国民に対して的確な情報提供を行うこと(3)米国、韓国、中国およびロシアをはじめとする関係諸国と連携を図ることの3点の指示があった。指示を踏まえ現在、関係諸国と連絡を取りつつ、事実関係を確認をしている」