原子炉の直下に潜む活断層

敦賀原発廃炉の公算大 規制委「活断層の可能性高い」 (www.asahi.com 2012年12月10日20時23分)
 
 日本原子力発電敦賀原発福井県)の敷地内の断層を調査した原子力規制委員会は10日、外部の専門家を交えた評価会合を開き、2号機の原子炉建屋直下を通る断層は活断層である可能性が高いとの認識で一致した。国のルールは活断層の真上に原子炉建屋を建てることを認めていないため、2号機は再稼働できず、廃炉を迫られる公算が大きくなった。
 
 廃炉になれば、東日本大震災以降では、事故を起こした東京電力福島第一原発1〜4号機以外で初めての例になる。
 
 敦賀原発には、1、2号機の原子炉建屋直下を含め、敷地内に約160の断層がある。さらに、活断層の「浦底断層」が原子炉建屋の約200メートル東を通っている。このため、浦底断層が動くとき、原子炉建屋直下の断層が連動するかどうかが焦点になっていた。
 
 島崎邦彦・原子力規制委員長代理は会合後、2号機の直下を通る断層について「活断層といって差し支えない。浦底断層の動きによって一緒に動いた、そういう活動だろう」と述べ、活断層の可能性が高いとの見方を示した。専門家の意見を受け、規制委の田中俊一委員長は「今のままでは再稼働の(前提となる)安全審査はとてもできない」と述べ、再稼働を認めない考えを示した。12日の規制委定例会で会合の結果が報告される。
 
 今月1、2日にあった現地調査では、2号機直下を通る断層「D―1」と浦底断層の合流地点付近を重点調査。D―1の上部に新たな断層が確認され、断層ができた原因は浦底断層の活動とほぼ同じ力が加わったためとの見方で専門家らが一致。力のかかり方は現在も変わらないとみられ、評価会合では、この断層は将来も動く可能性が否定できないと結論づけた。
 
 日本原電は「大規模な調査で活断層の可能性はないことを説明した。このようなとりまとめとなったことは受け入れがたい」とのコメントを発表した。日本原電は追加調査するが、結論を覆す材料が見つかる可能性は低いとみられる。
 
 2010年に作られた国の耐震審査の手引では、活断層の真上に原子炉建屋などの重要施設を造ることは認められていない。最終判断は事業者に委ねられるが、原子炉の移設は現実的な選択肢とは言えず、日本原電は廃炉を迫られる公算が大きい。
 
 1号機は、日本原電の調査が遅れているため、現地調査では直下の断層を観察できなかったが、浦底断層が極めて近いため、2号機と同様、規制委は再稼働を認めない可能性が高い。
 
 敦賀原発の断層は、06年に改定された耐震指針に基づく再評価の一環として、旧原子力安全・保安院が今年4月に現地調査した際、複数の専門家が原子炉建屋直下を通る断層が活断層である可能性を否定できないと指摘。これを受け、日本原電が追加調査を実施していた。
 
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 〈日本原子力発電敦賀原発〉 1号機(出力35.7万キロワット)は1970年3月に営業運転を開始した国内初の商業用軽水炉。原子炉等規制法で、原則として廃炉にすると定められた運転40年を超えている。2号機(出力116万キロワット)は87年2月に営業運転を開始。1、2号機の敷地面積は220万平方メートル。3、4号機の増設計画もあるが、野田政権は原発の新増設を認めない方針を示している。