アインシュタインを超えて

アインシュタイン超える仮説 大学院生が実験装置を考案 (www.asahi.com 2012年11月29日03時00分)
 
 20世紀最高の物理学者アインシュタイン一般相対性理論を上回る理論を証明できるかも――。そんな挑戦を可能にする実験手法を、弘前大の大学院生、大河原広樹さんらが考案し、物理学誌「フィジカル・レビュー・レターズ」に発表する。
 
 一般相対性理論によると、あらゆる物体は空間をゆがめ、引力を生み出す。万有引力の法則はもともとニュートンが示したが、一般相対性理論ニュートンの法則では説明できない現象も説明でき、ニュートンの法則が不完全であることを示した。
 
 その一般相対性理論すら不完全であると主張する最新の仮説に「チャーンサイモン(CS)重力予想」がある。だが、この予想の正しさを立証する方法はこれまで、超高精度の宇宙観測しか知られておらず、現実には技術的に難しかった。
 
 大河原さんらは簡便な立証法がないか検討。予想が正しいなら、地上では中性子線の波長が地球の自転と公転の影響で時間とともに変化することを、計算で突き止めた。
 
 この変化はシリコン管を用いた干渉計という装置の精度を上げることで、実験で検出できる。必要な精度の向上は現在の技術で十分可能という。来年メーカーに就職し、研究を続けられないという大河原さんは「誰かに実証して欲しい」と話している。
 
■机に乗る簡易さ、画期的
 
 〈二間瀬(ふたませ)敏史・東北大大学院教授(天文学)の話〉 世界の研究者が探したがっている一般相対性理論のほころびを、実際に見つける方法を示した意味は大きい。机に乗るほどの装置で宇宙の基礎理論を証明できるおもしろさもある。実験機器の精度は上がっており、多くの研究者が実験に乗り出すのではないか。