佐藤優 『はじめての宗教論 右巻 見えない世界の逆襲』

 …教養としての神学というのはありえません。行動の武器としての神学というのもありえません。神学とはそのような、何かと結合できるようなものではありません。(略)人間は神学を研究すると、必ず変容していきます。テキストを読むことは、テキストによって自分自身が読まれていくことです。テキストと自分の間で融合と対話が起きてくるわけです。それが優れた神学書の条件です。 (p.238)
 
 欧米人の深層心理に潜む「コルプス・クリスティアヌム」の問題から中世の普遍論争(山内志朗『普遍論争――近代の源流としての』)、啓示の本質、原罪、モナドジーカール・バルトから魚木忠一(『日本基督教の性格』)、高山岩男(『世界史の哲学』)まで、神学をめぐる刺激的な争点が分かりやすく説明される。左巻はシュライエルマッハーの思想をめぐって。