「事象の地平」を見る

ブラックホール見えるか 半径の5.5倍離れたガス観測 (www.asahi.com 2012年10月2日10時47分)
 
 国立天文台や米マサチューセッツ工科大などのチームが、地球から5千万光年ほど離れた銀河M87にあるブラックホールの「半径」の5.5倍程度の位置にあるガスの観測に成功した。米科学誌サイエンス(電子版)に論文を発表した。
 
 ブラックホールは極めて大きな重力を持つ。「事象の地平」と呼ばれる面の内側からは、光さえ逃げ出せないため直接の観測はできないが、吸い込まれそうになっている周囲のガスの流れの観測はできる。
 
 今回チームは、米国の3カ所の電波望遠鏡を使った。今後、電波望遠鏡の数を増やして精度を上げる計画で、事象の地平の内側に真っ黒に浮かび上がるブラックホールの直接観測が期待される。
 
 地球から50億光年以上離れた銀河にあるブラックホールのガスの観測に成功した東京大などのチームも、同様の手法でブラックホールの「撮影」を狙っている。