縮む脳

PTSD症状ある人、脳の一部萎縮 東北大で学生を調査 (www.asahi.com 2012年5月30日16時53分)
 
 「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」で見られる不眠などの症状が強い人ほど、脳の一部が縮んでいる――。東北大の研究グループが東日本大震災を経験した東北大の学生の脳を調べたところ、そんな傾向が見つかった。感情の制御などに関わる部分が小さくなっていた。強いストレスで脳の大きさが変化するのが確認されたのは初めてという。
 
 東北大の川島隆太教授や関口敦研究員らのグループが、震災前に研究のために脳をMRI(磁気共鳴断層撮影)で計測していた学生42人を、震災後の昨年6〜7月に再び調べた。いずれも震災による自宅などへの被害は小さかったが、「興奮状態が続いて眠れない」などとPTSDで見られる症状がある学生もいた。
 
 精神症状の程度と脳の計測結果と合わせると、PTSDの症状が強く出ていたのは、恐怖や不安に反応する「前帯状皮質」が小さい人だった。さらに、PTSDの症状が強い人ほど、感情の制御や恐怖の記憶を消す働きに関わる「眼窩(がんか)前頭皮質」が萎縮していた。関口さんは「最大で1割弱ほど小さくなった人もいる。より激しい被害を受けた被災者でも同じ変化が起きているだろう」と見る。眼窩前頭皮質の萎縮は、治療で回復できるという。