装飾古墳を守る

「装飾古墳」の状態、全国調査 文化庁、壁画劣化などで (www.asahi.com 2012年5月5日7時57分)
 
 石室などに絵画や文様が描かれた全国の「装飾古墳」について、文化庁が保存状況や劣化の有無などを確認する実態調査に乗り出した。奈良県明日香村の高松塚古墳などで壁画や装飾の劣化が次々と判明したことに加え、福島県などでは東日本大震災の影響で保存対策が不十分になったケースも報告されている。
 
 文化庁古墳壁画室によると、対象は15府県の国特別史跡・史跡の装飾古墳、計56カ所。各府県の教育委員会に、カビや剥落などによる劣化状況、保存管理の現状の報告を求めた。同庁の担当者が実地調査し、夏までに結果を公表する。劣化が確認された場合、地元に検討委員会を設置。高松塚古墳などの保存対策を協議してきた国の「古墳壁画の保存活用に関する検討会」と協力して対策を探る。
 
 対象には福島や宮城など東日本大震災の被災地の古墳も。墓室の壁に赤色顔料で渦巻文と人物が描かれている福島県双葉町の清戸迫横穴は、東京電力福島第一原発の北西約3.5キロの警戒区域内で、十分な保存対策が取れない状態だ。1月、文化庁などが現地調査したところ、伸びた木の根が壁画に迫り、塩害も出ていることがわかったという。