怒りと和解

「すみません」で攻撃性和らぐ 名古屋大など脳波分析 (www.asahi.com 2012年3月25日11時0分)
 
 謝れば、けんかしている相手の腹の虫の「暴走」だけは止められるかも――。謝罪を受けると、心のわだかまりは残るものの、怒りにまかせた「攻撃性」は収まることが、科学技術振興機構(JST)と名古屋大のチームによる脳波の分析でわかった。
 
 23日付米科学誌プロスワンに発表された論文によると、男女48人の大学生に飲酒年齢引き下げなど社会的な問題に関する意見を書いてもらい、半数には「大学生が書いた文章とは思えない」などと意見を侮辱するコメント付きの評価書を返し、残りには「こんなコメントをしてすみません」という謝罪文も付けて返し、脳波の差などを調べた。
 
 怒りが高まると、心拍数が増加し、汗が出ることなどが知られている。謝罪を受けなかったグループでは、心拍数や手のひらの汗が増加。脳波の検査では、攻撃性が高まっていることを示す左右の脳の活動の差が見られた。心理テストでも攻撃性と不快感の両方が高まっていた。
 
 一方、謝罪を受けたグループでは左右の脳の活動に差がなく、汗は増加したが、心拍数の変化もなし。心理テストでは、攻撃性は変わらなかったが、不快感は高まっていた。
 
 チームの久保賢太JST研究員は「謝っても怒りの全ては抑えられないが、攻撃されることはなくなり、和解への第一歩となる」と話す。