繰り返される「死」 / 米国は実行した

米主導の作戦でビンラディン容疑者殺害、オバマ大統領「正当な処罰」 (www.asahi.com[ワシントン 2日 ロイター] 2011年5月2日)
 
 オバマ米大統領は、アルカイダの指導者で2001年の同時多発テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン容疑者を、米国主導の作戦により1日にパキスタンで殺害したと発表した。
 1日夜遅くの異例の会見で大統領は「正当な処罰が下された」と表明。「アルカイダ指導者でテロリストのウサマ・ビンラディンの殺害は、米国が作戦を主導した」と述べた。作戦遂行で米国側に死者は出ておらず、民間人の犠牲者もいないという。
 
 米当局者によると、ビンラディン容疑者はパキスタン北部の街アボタバードで殺害され、米国側が遺体を確保した。
 アボタバードは首都イスラマバード郊外の山あいの避暑地。イスラム武装勢力が活動拠点とするカシミール地方にも近い。
 
 パキスタン治安当局高官によると、米中央情報局(CIA)主導の作戦では、現地時間の午前1時30分に地上部隊やヘリコプターなどで急襲。現時の報道によると、パキスタン軍のヘリ1機が墜落したが、急襲に関連したものかどうかは不明。目撃者によると、墜落前には相当な銃撃音が聞こえたという。
 地元テレビは頭部を銃撃されたビンラディン容疑者とみられる映像を放映した。
 
 2012年の大統領選で再選を目指すオバマ大統領は、安全保障面で大きな業績を残したことになる。アルカイダイスラム過激派の象徴的な存在を失ったといえる。
 ホワイトハウス前では、ビンラディン容疑者の殺害を歓迎する市民数千人が集まり、「USA、USA」と連呼。星条旗を振る姿が見られた。
 
 オバマ大統領は、昨年8月に入手した情報が、ビンラディン容疑者の所在特定につながったと説明。米政府当局者によると、大統領は4月29日午前に作戦遂行の最終指令を出した。
 大統領は「アルカイダの指導者であり、男性・女性・子供数千人の殺害に責任のあるウサマ・ビンラディンを殺害する作戦を、米国は実行した」と述べた。
 
 米政府高官は、1日のパキスタンでの米国による攻撃で、ビンラディン容疑者のほかに3人が死亡し、このうち1人はビンラディン容疑者の息子だと確信していると語った。また、ビンラディン容疑者の死亡により、アルカイダは、方向転換が困難な衰退の道に追い込まれたと指摘した。
 
 オバマ大統領から殺害の事実を伝えられたブッシュ前大統領は「極めて大きな功績」と評価。「テロとの戦いは続く。だが今夜米国は、どれだけ時間がかかっても正義は成し遂げられるという疑いのないメッセージを発した」との声明を発表した。
 共和党ジョン・マケイン上院議員も「非常に喜ばしい。ついに世界最悪のテロリストを倒した」と表明。クリントン元大統領も歓迎の意向を示した。
 
 米国務省は、ビンラディン容疑者の殺害を受け、「反米行動のリスクが高まっている」として、海外在住の米国人に警戒を呼び掛けた。国務省は「現在の不透明かつ不安定な情勢を踏まえ、反米暴動が起きる可能性のある地域にいる米国市民に対し、自宅・ホテルからの外出を控え、集会やデモの場を避けることを強く求める」との声明を発表した。