「報復テロ」は相続されるのか

米、報復テロ警戒 ビンラディン容疑者の遺体水葬 (www.asahi.com 2011年5月3日1時1分)
 
 国際テロ組織アルカイダの指導者オサマ・ビンラディン容疑者の殺害を受けて、米政府が関連組織などによる「報復テロ」への警戒を強めている。各地の大使館にテロ対策の強化を求めたほか、全世界に展開する米軍も警戒態勢を取っているという。
 
 クリントン国務長官は2日、「国際テロ組織アルカイダを阻止する戦いは、ビンラディン(容疑者)の死で終わるわけではない」とし、国際的なテロに対処する決意を新たにするよう呼びかけた。米政府高官は、指導者を失ったアルカイダ側が「米国を攻撃する努力を加速させかねない」とみている。
 
 今回の作戦は、オバマ大統領が4月29日に許可し、パキスタン時間の2日未明に実施された。首都イスラマバードの北約60キロにあるアボタバードで、小規模の実行部隊がヘリコプターを使って潜伏先を襲撃。ビンラディン容疑者は銃撃戦の末に死亡した。
 
 米情報当局者によると、米当局は2日、DNA型鑑定を実施し、遺体がビンラディン容疑者であると確認した。また、頭部を銃撃されたビンラディン容疑者の写真を持っているが、公表するかどうかは未定という。
 
 一方、同容疑者の遺体は2日、米軍の艦船でアラビア海北方に運ばれ、水葬された。イスラム教の慣習で死後すみやかに埋葬すべきだとされることや、遺体の受け入れ国を探すのが困難なことが理由という。また、イスラム教の慣習に従って土葬すると、同容疑者の支持者らがその場所を「聖地」とみなしたり、遺体を奪還しようと攻撃を仕掛けたりする可能性も懸念したとみられる。
 
 オバマ政権は今年7月、アフガニスタンに展開する約10万人の米兵の部分撤退を始める。クリントン長官は、同国の反政府勢力タリバーンに対し、アルカイダと決別し、カルザイ政権との和平協議に応じるよう求めた。