発動はなかった?

「勾留は不法。日本は謝罪と賠償を」中国外務省が要求 (www.asahi.com 2010年9月25日9時26分)
 
 中国外務省は25日未明、尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件で逮捕された中国人船長が処分保留で釈放されたことを受け、「日本側の漁民に対する勾留や取り調べは、いかなる形式の司法措置であれ、すべて不法であり、無効だ。日本側は中国側に謝罪し、賠償すべきだ」との声明を発表し、謝罪と賠償を要求した。

 郵便不正事件における大阪地検の空前の不祥事が、まさにひと晩で吹っ飛んだ。と言うよりも、今回の不祥事があった「からこそ」、地検は官邸が描いた筋書きに乗ったと見られても仕方のない体たらくぶりだ。
 法相は否定したようだが、今回の件で実際に指揮権発動があったとすれば、内閣はとてもじゃないが10月1日からの臨時国会を乗り切ることはできないだろう。その意味で、当面の「雌伏」を宣言しつつ、「天命が下るのを待つ」と(24日に)語った小沢元代表のタイミングのよさにも驚かされる。
 
 それにしても、日中の「領土問題」という外交・安全保障問題上の最重要案件に発展しかねない事態の収拾に際し、なぜ官邸は首相の帰国を敢えて「待たなかった」のか。指揮権発動を「隠蔽したい」思惑は分からないでもないが、今回の事例は(造船疑獄やロッキード日歯連など)国内マターとは根本的に「質」が違う。「政治主導」の大義を発揮する余地があったにもかかわらず、拙速な暴挙を選択せざるを得なかった真意について、ぜひとも詳らかにしてもらいたい。