ザ・グランド・デザイン

「宇宙誕生に神は不要」 ホーキング博士ら、新刊で主張 (www.asahi.com 2010年9月8日21時11分)
 
 英国の著名な理論物理学スティーブン・ホーキング博士らによる宇宙論の新刊「ザ・グランド・デザイン」が7日、発売された。この本でホーキング博士は「宇宙誕生に神は必要ない」と主張。創造主の存在を前提とするキリスト教ユダヤ教の指導者らから批判も出ている。
 
 物理法則には、「出来すぎ」と思える偶然の一致のようなものがいくつも見つかっており、ニュートンら著名な科学者には「宇宙は『神』によって絶妙にデザインされた」と考える人もいた。
 これに対してホーキング博士らは、宇宙は「無」から自発的に生まれると考えてきた。新刊では、量子力学に重力理論を組み合わせた研究成果から、偶然の一致に見えるものは「創造主なしで説明は可能」で、宇宙誕生の大爆発ビッグバンも「神に点火してもらう必要はない」とした。
 
 しかし英メディアによると、宗教指導者からは異論も相次いでいる。
 英国教会を指導するカンタベリー大主教のローワン・ウィリアムズ氏は、神への信仰を「すべてのものが究極的に依存する知的かつ現存のものを信じること」とし、物理学は、物事が存在する理由を説明できないとしている。
 やはり同教会の指導者であるスウィンドン主教のリー・レイフィールド氏は「ホーキング氏は、ビッグバンについての彼の理解を理由に、『神の存在を信じることが不可能だ』と言っているわけではない」と述べている。