気難しがり屋なオスカー

アカデミー作品賞・監督賞に「ハート・ロッカー (www.asahi.com 2010年3月8日14時5分)
 
 第82回米アカデミー賞の授賞式が7日、ロサンゼルス・ハリウッドのコダックシアターで開かれ、9部門で候補作に挙がっていた「ハート・ロッカー」が作品賞、監督賞、脚本賞、音響編集賞、録音賞、編集賞の6部門で受賞。キャスリン・ビグロー監督は女性として初めて監督賞を受けた。
 同じく9部門で候補作となっていた「アバター」は美術賞、撮影賞、視覚効果賞を受賞した。
 その他の主な受賞者・作品は以下の通り。
 
 主演男優賞 ジェフ・ブリッジス(「クレイジー・ハート」)▽主演女優賞 サンドラ・ブロック(「しあわせの隠れ場所」)▽助演男優賞 クリストフ・バルツ(「イングロリアス・バスターズ」)▽助演女優賞 モニーク(「プレシャス」)▽脚色賞 「プレシャス」▽長編アニメーション賞、作曲賞 「カールじいさんの空飛ぶ家」▽歌曲賞 「ザ・ウェアリー・カインド」(「クレイジー・ハート」)▽メーキャップ賞 「スター・トレック」▽衣装デザイン賞 「ヴィクトリア女王 世紀の愛」
 
イルカ漁告発の米映画、アカデミー賞 「ザ・コーヴ (www.asahi.com 2010年3月8日13時21分)
 
 第82回米アカデミー賞の授賞式が7日、ロサンゼルス・ハリウッドのコダックシアターであり、和歌山県太地町のイルカ漁を告発した米映画「ザ・コーヴ」(ルイ・シホヨス監督)が長編ドキュメンタリー賞を受賞した。
 
 映画のタイトルは「入り江」を意味する。太地町でイルカ漁の現場に潜入、隠し撮りした。シホヨス監督は米国の団体「海洋保護協会」の代表を務め、映画を通じてイルカ漁を自然保護に反すると批判している。
 撮影手法を含めて日本では物議を醸し、太地町などが反発、一部の上映会が中止された。日本での公開は6月ごろに予定されている。
(略)
 「年2万3千頭が不必要に殺される」「水銀で汚染されたイルカ肉が学校給食に使われている」という映画の指摘を、米メディアは衝撃的に受け止めた。かつて水銀を防腐剤に使った小児ワクチンをめぐる集団訴訟が起きるなど、水銀汚染に敏感な米国社会の風潮も無関係ではない。
 ただ、この作品が一頭地を抜いたのは、環境保護映画にとどまらない味付けを加えたからだ。
 
 イルカ保護活動家として登場するリチャード・オバリー氏は、1960年代に日本でも放映された米テレビドラマ「わんぱくフリッパー」に登場する、イルカ調教を担当した元トレーナー。かつてイルカを利用した張本人が、身の危険を顧みずイルカ漁の実態を告発する――。米シカゴ・トリビューン紙は「改心の物語だからこそ『ザ・コーヴ』は成功した」と評した。
 さらに、隠しカメラを据え付けたり、警察官と思われる何者かに尾行されたりする展開が「ハリウッド映画の演出と同じくらいサスペンスに満ちた現実」(米MSNBCのウェブサイト)という評価につながった。