The Ghost Writer

ポランスキー監督新作、ベルリン映画祭に 本人は拘束中 (www.asahi.com 2010年2月13日20時38分)
 
 「戦場のピアニスト」のロマン・ポランスキー監督の新作「ゴーストライター」が12日、第60回ベルリン国際映画祭コンペティション部門で公式上映された。約30年前の少女淫行事件に絡んでスイスで軟禁状態にある監督に代わり、主演のユアン・マクレガーピアース・ブロスナンらが会見で思いを語った。
 
 ポランスキー監督は、77年に米国で逮捕され淫行の罪を認めたが、判決直前の78年にパリに逃亡。その後は、欧州にとどまり、本作の米国の場面も、実際はポーランドなどで撮影した。編集作業中の昨年9月に拘束され、米当局が身柄移送を求めている。
 「どの監督との仕事より学ぶことが多かった。今日ここに一緒にいられないのは本当に悔しい」とマクレガー。ブロスナンは、「なぜ今ごろになって事件が蒸し返されるのか。監督も、相手の女性も家族がいる。同じ父親としてもいたたまれない」と語った。
 
 新作はポランスキー久々の本格サスペンス。英元首相(ブロスナン)の回顧録を任されたゴーストライター(マクレガー)が、巨大な陰謀に巻き込まれていく。作品の内外のスリリングな展開が関心を集め、記者会見場は満席札止めとなった。
 戦争犯罪人として国際刑事裁判所に訴追される映画の元首相と、英国のトニー・ブレア元首相の類似性も話題になった。
 
 「僕も脚本を一読してすぐブレアを連想した。でも、監督が『いや、彼のことは忘れてやってくれ』と言ってくれたおかげで自由に役を作れた」とブロスナン。監督と共同で脚本も手がけた原作者のロバート・ハリスは、ブレア元首相とブッシュ米前大統領の関係をヒントにしたことを認め、「ここ数年の英国は米国の51番目の州のようだ」とチクリ。「ブレアのゴーストライターは絶対やりたくないね」と笑わせた。