Jaco Pastorius / A Portrait Of Tracy


 
 ウェザー・リポートを脱退したジャコは、ビッグ・バンド『ワード・オブ・マウス』を結成。82年には待望の来日も果たすが、87年9月、泥酔状態のまま地元のクラブ・ハウスに乱入しようとしてガードマンに取り押さえられ、脳を強く殴打され意識不明の重体に。そのまま帰らぬ人となった。
 
 ジャコの奇行は来日時から大きな話題で、新幹線の車中では奇声を発したとか、マジックで落書きを描いたとか、誰かに殴られたとか、ラジオや雑誌でそんな話ばかり見聞きした。だから、ジャコの死は衝撃であったと同時に、いかにもありそうな話でもあったのだ。昏睡状態から回復の見込みがなくなったジャコは、1987年9月21日、家族同意のもと人工呼吸器が外された。