代表的ロシア人

気になる「自画像」 ロシアは変わるか・2頭体制1年 イメチェン戦略 (2009年5月14日付朝日新聞 国際面)
 
 ロシアのイメージは東西冷戦終結から20年の今もソ連を引きずり、強権的な色彩を帯びる。だが、国内では違う。内と外とで異なる自画像。ロシアはそれを強く意識し始めた。
 
■視聴者投票「ロシアの名」の順位
1  アレクサンドル・ネフスキー (13世紀の大公)
2  ストルイピン (ロシア帝政末期の政治家)
3  スターリン (共産党指導者)
4  プーシキン (詩人)
5  ピョートル1世 (西欧化進めた皇帝)
6  レーニン (ソ連初代指導者)
7  ドストエフスキー (作家)
8  スウォーロフ (18世紀の将軍)
9  メンデレーエフ (化学者)
10  イワン雷帝 (16世紀の皇帝)
 
 ソ連を指導した独裁者スターリンは本当に勝つのか――。注目はそこに集まった。
 ロシアの歴史でもっとも傑出した人物は誰か。それを視聴者がインターネットや携帯で投票するロシア国営テレビの番組「ロシアの名」。投票期間は6カ月間。昨年末、最終的な投票結果が発表された。
 1位はアレクサンドル・ネフスキー(13世紀の大公)。スターリンは3位だった。途中まではスターリンが1位だったことから英BBCが「『ロシアの名』はスキャンダルで終わる恐れがある」と報じ、国際的にも注目された。
 「スターリン問題」はロシア国内でも懸念されていた。政権与党「統一ロシア」の下院議員は「政権側もスターリンの勝利を望んでいない。独裁国家のイメージがついてしまう」と話していた。
(略)
 検閲があるわけでもない。一党独裁は約20年前に終わり、西側と同じ民主主義の政治構造に変わっている。それが国内での一般的な理解だ。
 プーチン首相も外国財界人との懇談でこんな言葉を漏らした。「私はいつもロシアのイメージをどうしたいか尋ねられる。なぜロシアだけがいつも聞かれるのか。どの国も問題はたくさんあるはずだ」
 

 ネフスキー大通りといえばロシア文学のタイトルにもあるくらい有名な目抜き通りで、そう言われればプーシキンドストエフスキーの作品にも出てきたかもしれないが、そのネフスキーやストルイピンが「代表的ロシア人」として、ピョートル1世やイワン雷帝を抑え堂々の1、2位にランキングされるとなると、本当に外国の歴史は難しい。むしろ日本人にはエカチェリーナ2世女帝エカテリーナ)や外交使節アダム・ラクスマンなどの方が(世界史的に)親しみがあるのではないか? ソ連時代の人物なら「水爆の父」サハロフに宇宙飛行士ガガーリン、芸術家ならストラヴィンスキーショスタコーヴィッチ、カンディンスキータルコフスキー…。でも、視聴者投票「ロシアの名」10傑には、トルストイも英雄クズネツォフも入っていないんですね。
 
 日本では、「代表的日本人」っていったい誰になるんだろう。