裁かれる「完全な共産主義」

ポル・ポト派特別法廷で初公判 カンボジア虐殺の歴史 (www.asahi.com 2009年2月17日14時10分)
 
 70年代のカンボジアで自国民の虐殺に関与したポル・ポト政権の元幹部らを裁く特別法廷で17日午前、人道に対する罪などで起訴されたカン・ケク・イウ元収容所長(66)の初公判が始まった。同法廷に拘束された5人の元幹部で最初の審理となる。法廷の運営方法をめぐりカンボジア政府と国連の協議が難航、捜査にも手間どり、政権崩壊から30年を経て虐殺の責任がようやく司法の場で問われることになった。
 
 初公判は、同法廷で認められている被害者や遺族の審理への直接参加の方法を決めるほか、今後の公判の進め方を議論する。被告の罪状認否は次回になる見通しだ。
 ポル・ポト派は政権を握った75〜79年、極端な共産主義思想に基づき知識人の処刑や都市住民の農村への強制移住、強制労働、拷問、虐殺などを繰り返し、犠牲者は約170万人に上ったとされる。元収容所長は、プノンペンのツールスレン収容所での残虐行為の責任を問われている。虐殺に関与したとして拘束されたほかの4人の元幹部への取り調べは難航し、起訴に至っていない。
 この日は朝から被害者や遺族のほか、各国の外交官やNGO(非政府組織)のメンバーも傍聴に詰めかけた。初公判はテレビを通じて全土に生中継された。