ブラック・ケネディ

オバマ氏、米大統領就任へ 日本時間21日午前2時宣誓 (www.asahi.com 2009年1月20日23時20分)
 
 米民主党バラク・オバマ上院議員(47)は20日正午(日本時間21日午前2時)、ワシントンの連邦議会議事堂前での就任式で宣誓した後、第44代大統領に就任する。米史上初めてのアフリカ系(黒人)大統領となるオバマ氏は就任演説で、困難な時代に米国民一人ひとりが団結し、責任を共有し、希望を持って米国を再生させる「チェンジ(変革)」の一翼を担うよう呼びかける。
 

 オバマ大統領就任に合わせて緊急出版された越智道雄×町山智弘『オバマ・ショック』(集英社新書)は、「ブッシュ政権は世界最強だった覇権国家アメリカをたった8年で失墜させた」(p.80)と指摘する。
「ブッシュは任期の終わりには支持率が24%にまで落ち込み、ウォーターゲート事件で辞任に追い込まれたニクソンの26%を下回った。歴史学者たちもリベラル、保守を問わず、史上最低の大統領だと評価しています」(p.77)。
 その「失われた8年」を埋め合わせるべく、熱狂的な喝采のもと第44代大統領に就任するのがバラク・オバマだ。
 
 一方、村田晃嗣×渡辺靖オバマ大統領 ブラックケネディになれるのか』(文春新書)で、村田は「(今回のオバマ大統領誕生は)『リベラルが勝った』と積極的に評価するよりは、『極端な保守が行き詰まった』と見なすべき」と指摘する。
 1932年の大統領選で、民主党ルーズベルトが得票率57%を確保し、現職のフーバー候補に17ポイントの差をつけて勝ったのに対し、今回、オバマの得票率は53%で、マケイン候補との差は僅かに7ポイントしかなかった。「世界金融危機」がなければ、結果はどうなっていたか分からない、というのが感想だ。
 
 ともあれ今日、1月20日(日本時間21日)、レーガン政権発足以来28年間続いてきたアメリカの保守体制(民主党右派だったクリントンを含め)は終わりを告げ、アメリカ合衆国は新たなステージへと「チェンジ」する。
 稀代の大統領、リンカーンとローズベルトに自らを擬し、ケネディ以来のカリスマ性を兼ね備えた「過去がない黒人」バラク・オバマ。世界中が注目する大統領就任式の模様は、日本でも21日午前1時10分より、NHK総合テレビで生中継される。

“America. In the face of our common dangers, in this winter of our hardship, let us remember these timeless words. With hope and virtue, let us brave once more the icy currents, and endure what storms may come. Let it be said by our children's children that when we were tested we refused to let this journey end, that we did not turn back nor did we falter; and with eyes fixed on the horizon and God's grace upon us, we carried forth that great gift of freedom and delivered it safely to future generations.”
 
アメリカよ。共通の危機に直面したこの苦難の冬の中で、時代を超えたこの言葉を思い出そう。希望と美徳をもって、いてついた流れに再び立ち向かい、どんな嵐が来ようと耐えよう。私たちの子供たちのまた子供たちに、私たちは試練のときに、この旅が終わってしまうことを許さなかった、と語られるようにしよう。私たちは後戻りも、たじろぎもしなかったと語られるようにしよう。そして、地平線と神の恵みをしっかり見据えて、自由という偉大な贈り物を受け継ぎ、未来の世代にそれを確実に引き継いだ、と語られるようにしよう。