ニーチェは没落したか

 『ナチズム』に続き、ブロッホの『この時代の遺産』を、ブックファースト新宿店にて購入。モード学園コクーンタワーの地階にできた、不思議な構造を持つ書店で、新宿駅西口から地上に出ずにアクセスできる本屋さんの中では品揃えが一番好みに合っているので重宝している(ただし紀伊國屋本店は別格)。同じサブカルチャー分析でも、近年はやりの「00年代本」とは何と意匠が異なるものか。
 
 ヨアヒム・ケーラーの『ニーチェ伝』は、「偶像破壊か? 真実の究明か?/ニーチェルネッサンスの掉尾を飾る待望の評伝にして“問題の書”。ついに邦訳なる」という帯につられ購入する。それにしても1900年というまさに19世紀最後の年に没しながら、ポストモダンの“源流”の一つとして延々と論じられ続けているニーチェは、20世紀の一体いつ再生(ルネッサンス)し、21世紀のどの時点で没落したというのだろうか。「バーゼルの躓き」「新しきコロンブス」などの章題もいいけど、巻頭の図版は物議を醸す…かも。
 
 大澤真幸『虚構の時代の果て』は、増補版としてちくま学芸文庫に登場。大澤の長い本はなかなか最後まで読み切れないから、『不可能性の時代』みたいな新書とか、この増補版みたいな文庫はうれしい。
 
 『第三次世界大戦』は田原×佐藤の時事対談集ということで、「サンデープロジェクト」の紙面版みたいなノリか(日曜朝のこの番組、ぼくは見たことがないけれど)。佐藤優はおびただしい量の活字を発表しているし、写真も巷間に溢れているものの、テレビにはほとんど出演していないらしい。『国家の罠』は文庫で読んで面白かったし、亀山郁夫との対談『ロシア闇と魂の国家』も、年長の亀山氏をしばしば圧倒してロシアの政治・文学・宗教を語っていたが、本書はどんな流れになっているか。
 

この時代の遺産

この時代の遺産