10年のリスク

喫煙で寿命10年縮まる 日英、日本人を60年以上調査 (www.asahi.com 2012年10月26日11時10分)
 
 たばこを吸うと寿命が8〜10年縮まることが、放射線影響研究所広島市)や英オックスフォード大による調査でわかった。日本人約6万8千人を分析した。未成年でたばこを吸い始め、吸う本数が多い人ほど死亡リスクは高かった。25日付の英医学誌電子版に発表した。
 
 研究チームは、被爆者の健康影響を調べるために放影研が60年以上続けている「寿命調査」の対象者のうち、喫煙の有無が判明している人を分析した。被爆していない人も含まれる。
 
 未成年でたばこを吸い始めた男性(1920〜45年生まれ)の72%は70歳まで生きた。一方、同じ年代でたばこを吸わない男性の72%は78歳まで生きた。たばこで寿命が8年縮まったことになる。女性は、寿命が10年縮まっていた。
 
 この傾向は、被曝線量や飲酒の習慣、肥満度、年齢を考慮しても変わらなかった。ただし、喫煙開始年齢が遅くなると寿命への影響は小さくなった。
 
 英米の大規模な疫学調査では、たばこで寿命が10年短くなるという結果が出ていたが、これまでの国内の疫学調査では、影響は4年程度にとどまるとされてきた。従来の国内の調査には、喫煙開始年齢が比較的遅く、吸う本数も少なかった1920年以前に生まれた人が多く含まれていたため、影響が過小評価されていたと、研究チームは分析している。「たばこの健康リスクは日本も他の国も変わらない」と警告する。