大統領選挙と「神」

エルサレムイスラエルの首都」 米民主党綱領に復活 (www.asahi.com 2012年9月6日19時33分)
 
 米民主党は5日、ノースカロライナ州シャーロットで開催中の全国党大会で、前日に採択した政策綱領に、エルサレムイスラエルの首都と認める文言を加えた。AP通信によると、ユダヤ系の党員らの意向をくんで、オバマ大統領が綱領の修正を指示したという。
 
 民主党は2008年の政策綱領には「エルサレムは現在も今後もイスラエルの首都だ。当事者はエルサレムの帰属を最終的な交渉で決めると合意している」と記していたが、4日に採択した今回の綱領には含めなかった。これに、民主党の支持基盤である親イスラエル団体などが反発。5日の大会で文言を復活させる動議が出された。
 
 会場で採択を求めたところ、アラブ系の党員らが修正に反対。3回に及ぶ採決の後、議長が賛成多数で修正に至ったと宣言した。米メディアによると、この決定後も一部の党員の反発が続いたという。
 
 米国の歴代政権は、エルサレムの地位について、イスラエルパレスチナとの交渉で決めるべきだとしてきた。オバマ政権も、共和党大統領候補のロムニーマサチューセッツ州知事が7月末に「エルサレムイスラエルの首都だ」と発言した際、「我々とは違う立場だ」としていた。
 
 今回の綱領については、「神」という言葉が削られたことへの批判も出た。このため民主党は5日、政府の役割を記した部分に「神に与えられた能力を最大限に活用する機会を与える」という文言を加えた。
 
 政策綱領は、大統領選に向けた政党の公約と言える文書だが、候補者が直接拘束されるわけではない。ロムニー氏の陣営の報道官は「オバマ氏は今こそ、エルサレムを首都と考えるのかどうかを明言すべきだ」と迫っている。