ダイエットと長寿

カロリー制限、寿命に関係なし? 米研究所がサルで実験 (www.asahi.com 2012年9月1日12時53分)
 
 カロリーを約3割減らすダイエットをしても長寿につながらなかった――。米国立加齢研究所がアカゲザルを20年以上飼育した実験で、こんな結果が出た。カロリー制限は「長寿の極意」とされてきただけに議論を呼びそうだ。科学誌ネイチャーに発表された。
 
 計121匹のサルを二つのグループに分け、一方はカロリーを約3割減らしたダイエットをさせ、死亡率に違いが出るかを調べた。
 
 その結果、性別やダイエットを始める年齢にかかわらず死亡率に統計的な差はなかった。ただ、ダイエットをしたサルは体重が軽く、コレステロール中性脂肪が低めで、加齢に関係するがんや糖尿病、関節炎の発症は遅い傾向があり、「健康上の利点はある」との結果が出た。
 
 今回、ダイエットしないサルは肥満にならない程度に制限した。ダイエットをしないサルには好きなだけエサを食べさせた09年発表の長期飼育の実験では、ダイエットしたサルは加齢によるがんや糖尿病の死亡率が約3分の1に減った。ただ、当時の実験でも、加齢に関係しない病気まで含めれば死亡率にほとんど違いはなかったという。
 
 1930年代以降、マウスやショウジョウバエ、線虫などの実験で、カロリー制限で寿命が長くなることは確認されている。同研究所のホーデス所長は「カロリー制限が体に与える影響の複雑さを示している」と話している。