シリア政府は約束を破った

安保理、シリア非難の報道声明採択 政府軍の砲撃認定 (www.asahi.com 2012年5月28日10時26分)
 
 シリアに展開する国連停戦監視団が、中部ホムス県ホウラで子どもを含む90人以上の虐殺を確認したことを受けて、安全保障理事会は27日、緊急会合を開き、殺害は「住宅地への政府軍による大砲・戦車の砲撃を含む攻撃」で起きたとし、「最も強い言葉で非難する」とした報道声明を全会一致で採択した。
 
 監視団のムード団長は26日の声明で「戦車砲などが使われていた」とし、名指しを避けつつ、政府軍による攻撃を示唆していた。安保理の報道声明はさらに踏み込み、虐殺を起こした攻撃に政府軍の砲撃が含まれることを認定した。
 
 報道声明は「市民への非道な武力行使国際法違反で、安保理決議でシリア政府に暴力停止を求めたことにも違反している」と指摘。(1)潘基文(パン・ギムン)事務総長にホウラ攻撃の継続調査を要請(2)シリア政府に人口密集地での重火器の即時使用停止を要請(3)アナン国連・アラブ連盟合同特使の和平努力への全面支持を改めて表明――なども盛り込んだ。
 
シリア90人以上虐殺、32人は子ども 国連が政権非難 (www.asahi.com 2012年5月27日21時35分)
 
 シリアに展開する国連停戦監視団のムード団長は26日、中部ホムス県ホウラで、戦車による砲撃などで10歳以下の子ども32人を含む90人以上が殺害されたと確認した、とする声明を出した。クリントン国務長官は「政権の砲撃による虐殺」として強く非難。政権側は関与を否定している。
 
 ホウラでは25日から26日にかけ、砲撃などで多数の市民が死亡した。ムード団長は声明で「戦車砲などが使われていた」と指摘し、名指しを避けつつ、政権軍による攻撃だったことを示唆。「関与した者の責任が問われるべきだ」と述べた。反体制派は「政権軍が砲撃したうえ、政権支持の私服民兵らが住民を銃撃した」としている。
 
 現地からの映像では、顔や体のあちこちに傷を負い、死亡した幼児の遺体が何体も横たえられ、モスクの床には、白い布のようなものに包まれた遺体が数十体並べられている。
 
 潘基文(パン・ギムン)国連事務総長とアナン国連・アラブ連盟合同特使は連名で「無差別かつ圧倒的な武力行使を伴う残忍な犯罪で、目に余る国際法違反。シリア政府は約束を破った」と非難する声明を出した。