作られたキマイラ

世界初、「キメラ」のアカゲサル誕生 米大学グループ (www.asahi.com 2012年1月7日15時0分)
 
 一つの体に異なる遺伝情報をもつ細胞が混在する「キメラ」のアカゲザルを作ることに米オレゴン健康科学大霊長類センターの立花真仁研究員らが世界で初めて成功した。米科学誌セル(電子版)に5日、発表した。ヒトに近いサルを使う医学研究や生命現象の理解に役立ちそうだ。
 
 動物の体は、もともと一つの細胞からなる受精卵(胚)が分割してできていくため、すべての細胞が同じ遺伝情報をもつ。これに対し、キメラはギリシャ神話に出てくるライオンの頭、ヤギの胴、ヘビの尾を持った怪獣に由来し、異なる遺伝情報をあわせもつ動物をさす。
 
 これまでもマウスのキメラの作製は広くなされてきた。胚性幹(ES)細胞を、別の胚の中に入れて作る方法が一般的だが、サルではうまくいかなかった。ES細胞は、分割が進んだ胚の内部の細胞を取り出して培養したものだ。
 
 そこで、ES細胞より初期の「4細胞期」と呼ばれる段階の胚3〜6個を混ぜて凝集させて、5匹のサルの子宮に戻したところ、双子を含む計3匹のオスの子ザルが生まれた。胎盤や血液の検査でキメラと確認された。うち1匹は6個の胚からなることからロクと名づけられた。