これで終わったわけではない

首相、原発事故の収束を宣言 ステップ2終了を確認 (www.asahi.com 2011年12月16日20時38分)
 
 野田政権は16日の原子力災害対策本部で、東京電力福島第一原発の事故収束に向けた工程表ステップ2(冷温停止状態の達成)の終了を確認した。野田佳彦首相は記者会見で「発電所の事故そのものは収束に至ったと判断される」と事故収束を宣言した。
 
 原子炉を安定的に冷やすステップ1は7月に完了。ステップ2は当初、来年1月中旬までに終える予定だったが、首相は年内完了を国際会議で公約。除染や避難住民の帰還など課題が残る中で「事故収束」をあえて宣言し、安全性をアピールした。国際公約を守るため収束宣言を急いだとの見方も出ている。
 
 対策本部では1〜3号機の炉の温度は9月下旬以降100度を下回り、今月15日現在は38〜68度だったと報告された。放射性物質の外部への飛散も毎時0.6億ベクレルで、事故時の1300万分の1に減少。発電所の敷地境界で追加的に被曝する線量も最大年間0.1ミリシーベルトと、目標の年間1ミリシーベルトを下回った。
 
 首相はこうした状況を踏まえ、「万が一トラブルが生じても、敷地外の放射線量が十分低く保たれる点が技術的に確認された」と述べ、冷温停止の条件を満たしたと表明。事故収束については「オンサイト(原発敷地内)の問題」と限定し、「オフサイト(敷地の外)では引き続き課題があり、事故の対応はこれで終わったわけではない」と強調した。除染に向けて来年度予算も含め1兆円超を確保し、来年4月をめどに作業員3万人以上を確保して進める考えも示した。