球場内の座席の位置まで

ブラックホールの位置、初の特定 総合研究大学院大など (www.asahi.com 2011年9月8日11時32分)
 
 総合研究大学院大学博士課程の秦和弘さんや宇宙航空研究開発機構の土居明広助教国立天文台の研究グループは、電波望遠鏡の観測データから、5440万光年先のブラックホールの位置を初めて詳しく特定した。これまで実現していないブラックホールの観測や撮影に向けて前進した。8日付の英科学誌ネイチャーで発表した。
 
 秦さんらは2010年4月、北米10カ所の電波望遠鏡おとめ座銀河(M87)の中心付近の噴出ガスを観測した。このガスは、直径が地球と太陽の距離の240倍ある超巨大ブラックホールから出ていると考えられているが、ガスとブラックホールの境目付近は、これまでの観測での解像度は低く、詳しくわかっていなかった。
 
 研究グループは高い周波数を使うなどの工夫をして、高い解像度で境目付近の詳しい位置を突き止めた。土居助教は「これまでは、ドーム球場の住所しかわかっていなかったのが、球場内の座席の位置までわかったことになる」と説明する。