福島を日本のワシントンに

 東北関東大震災は被災各地に想像を絶する甚大な被害をもたらした。こう語る今もなお、避難所では多くの人々が、決して互いに共有することのできない深くて個人的な苦悩を抱え込みながら傷つき、あるいは命を落としつつある。
 
 とりわけ深刻なのが、原発事故により農業立国としての未来を致命的に見失った福島の惨状だ。麻生太郎元首相は25日、風評被害の広がる相馬市を訪れ、地元野菜を食するパフォーマンスを示したというが、全国の消費者が再び福島を快く受け入れるようになるまでに、果たしてどれだけの年月を費やさねばならないのか。この地では未だ、復興の掛け声さえ空しく響く。
 
 政府はいまこそ、福島を首都機能移転の地に指名し、地元の人々に希望の光を灯すべきではないか。高度先端的防災都市の新しいモデルとして、国を挙げて福島の復興を目指し、2020年を目処に安全で安心な未来都市・Fukushimaを世界に向けて再生させる。これは決して荒唐無稽な夢物語ではない。実際に、1999年12月20日の国会等移転審議会の答申では、福島は栃木と並んで北東地域の移転候補地に挙げられている。
 
 無論、首都ともなると世界中の国々から大勢の要人を迎え入れることになる。残留放射能などは徹底的に除去しなければならないだろう。しかし、そうした困難を乗り越え、安全な都市づくりに成功した時、フクシマはヒロシマと並んで、大きな意味のある、象徴的な復興都市として世界に蘇ることだろう。
 
 福島の再生なくして、日本の再生はありえない。真にダイナミックな「政治の力」を、被災地の人々に、そしてそれを見守るわれわれ国民の目にしっかりと、力強く示してもらいたい。

放射性物質、原子炉燃料破損し漏出か 3号機に被曝汚水 (www.asahi.com 2011年3月26日3時0分)
 
 東京電力福島第一原子力発電所福島県大熊町双葉町)3号機のタービン建屋内で起きた作業員の被曝(ひばく)で、経済産業省原子力安全・保安院は25日、原子炉の燃料が破損して放射性物質が漏れ出た可能性が高いとの見方を示した。1、2号機でも同じように放射線量の高い水がたまっているのが見つかった。東電は地下のケーブル敷設作業を中止した。電源復旧作業がさらに遅れる可能性が出てきた。
 
 東電や保安院によると、被曝した3人の作業員は、3号機のタービン建屋でケーブルを敷設している最中に、足元にあった水につかったとみられる。水からは通常の原子炉内の冷却水より約1万倍強い放射能が検出された。
 保安院はこの水が、使用済み核燃料の貯蔵プールより、原子炉内から漏れ出した可能性の方が高いとみている。水にはセシウム137など燃料の破損を疑わせる放射性物質が含まれていた。
 
 炉内は周囲より高圧を保っていることから、原子炉圧力容器に亀裂などの大きな損傷があるわけではなく、壊れた配管などから蒸気や水が出て流れ着いたのではないかという。原子炉のある建屋はタービン建屋の隣にある。作業員らがいた地下1階は直接通じていないものの、1階は扉を通じて行き来できる。
 水たまりは1、2号機でも見つかった。1号機のタービン建屋地下の水たまりで24日採取した水からは、3号機とほぼ同じレベルにあたる1立方センチ当たり380万ベクレル(放射能の単位)の放射能を検出した。
 
 東電は25日、原子炉を冷やすための消防ポンプによる注水作業について、1号機と3号機を海水から真水に切り替えた。塩分によって炉の周りにある配管や機器が傷んだり、詰まったりするのを防ぐためだ。2号機についても準備が整い次第切り替えるという。
 
 電源関係では、1、3号機に続き、2号機の中央制御室の照明復旧に向けた作業が進められた。