雨と浄化

放射性降下物、首都圏など大幅低下 雨とともに落下か (www.asahi.com 2011年3月24日22時59分)
 
 文部科学省は24日、大気中の放射線量や、上空からちりなどと一緒に落ちた放射性の降下物などの測定結果を発表した。降下物の値は、首都圏を中心に大幅に低下した。大気中の放射線量も、10都県で通常より高い値が続いているが、多くの地点で低下する傾向を示した。
 文科省や専門家は、前日に降下物の値が上がったのは、福島第一原発で15日前後に起きた爆発などで上空に放出された放射性物質が、前日までに降った雨とともに落下したのが影響しているとみている。
 
 上空から落ちてくる放射性ヨウ素131やセシウム137などの放射性物質の値は、関東地方の多くの地点で大幅に低下した。昨日まで高い値が続いていた。
 東京都新宿区では23日午前9時から24日午前9時までの間に、ヨウ素が1平方メートルあたり1万3千ベクレル(ベクレルは放射能を表す単位)で前日比で6割減、さいたま市は1万6千ベクレルで同3割減、千葉県市原市は7700ベクレルで同7割減だった。
 一時高い数値を示していた茨城県ひたちなか市も、セシウムは420ベクレルから63ベクレル、ヨウ素は2万7千ベクレルから1200ベクレルに大きく下がった。
 
 日本アイソトープ協会の佐々木康人常務理事は「首都圏で前日、降下物の値が上がったのは、雨の影響が考えられる。雨が大気中の放射性物質を取り込んだお陰で空気がきれいになり、値が下がったのだろう。今後、雨が降らなければ、川の水に入るヨウ素の量も減り、水道水に含まれる値も下がることが予想される」と話している。
 
 24日午前9時から午後5時までの大気中の放射線量が平常値より高かったのは、宮城、福島、山形、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川の10都県。福島県内の各地も依然、高い値を示しているが、多くの地点で前日より下がった。
 
 道ばたの雑草も高濃度に汚染されていた。福島県飯舘村では、原発から北西約40キロで採取した雑草の葉から1キロあたり124万ベクレルのセシウム137が検出された。前日までの付近の土の汚染の約8倍の濃度だった。
 文科省によると、試料の測定方法や採取場所が違うと風向や地形によって数値に差が出るという。「土や雑草の濃度基準はないが、農作物への影響など分からない点もあり、今後の推移を監視していく」という。
 
 原発から沖合約30キロの海水調査では、8カ所中3カ所でヨウ素131が基準値を超えた。海水は23日に採取され、最高値は基準の1.9倍の76.8ベクレルだった。原子力安全委員会は「ヨウ素半減期が8日と比較的短いため、魚や海藻に取り込まれ、人が食べるまでには相当薄まると考えられる」という。