アカデミズムから遠く離れて

指導術、憲法観などに評価 故小室直樹さんの業績しのぶ (www.asahi.com 2011年3月19日)
 
 『ソビエト帝国の崩壊』『痛快!憲法学』などの著作で知られ、昨秋77歳で亡くなった東京工業大学世界文明センター特任教授だった小室直樹さんを記念するシンポジウムが6日、東京都目黒区の東工大であり、私的な指導の場「小室ゼミ」で学んだ社会学者らが故人の業績を振り返った。
 
 小室さんは京大卒業後、阪大院や東大院で学び、米国のMITやハーバード大にも留学。数学、政治学社会学など幅広い学問を修め、構造機能分析を研究。私的に学生や院生を指導し、ジャーナリズムへと活動の場を移した。
 ビデオレターで出席した盛山和夫東大教授は、教え方がうまく、オーソドックスな学問を押さえた上で指導をしていたと言い、「すぐそばに(ノーベル経済学賞受賞者の)サミュエルソンがいる気がした」と称賛した。
 また、司法試験受験塾経営者の伊藤真さんは面識はなかったが、「憲法の本質は権力を拘束することだと、市民、国民に向けて明確に示した」と憲法観を評価。
 
 一方、橋爪大三郎東工大教授は「米国で活躍できたはずだが、日本に戻ってきた。読者は受け入れたが、大学には受け入れられなかった」と述べ、小室さんを迎え入れることのなかった日本のアカデミズムを批判した。